ブランドが海外向けSNS運用を始める前に知っておきたい5つのこと
こんにちは!2024年の初めに書いたこの記事、もう少し伝わりやすくできる気がしたのでリライトしました!
海外向けにSNS運用を始めるための調査項目
1. 海外向けにSNS運用を始めるための調査項目
どのSNSプラットフォームで戦うか
例えば明日突然上司に
「越境ECするから、SNS担当よろしく⭐️来週戦略聞かせてね❤️」
と言われたら、あなたはどうしますか?
勢いのある社長がやりがちな無茶振りに戸惑う一連の流れはさておき、
まずは運用するプラットフォームを決めないといけません。
そこで最低限明らかにするべきなのはこの2つです。
・どこの国をターゲットとするのか
・ターゲット顧客のペルソナ
なぜこの2つを最低限明らかにしないといけないかというと、
①国によってアクティブユーザーを多く抱えるプラットフォームが違うから
②業界やプロダクトによって、ターゲット顧客がたくさんいるプラットフォームが違うから
です。
海外向けにSNS運用をする際には必ず、自社の越境ECのターゲット国とターゲット顧客のペルソナを明らかにし、彼らがいる場所がどこなのかを探しにいきましょう。
探し方は色々ですが、1番早いのは実際に各プラットフォームに飛び込んでキーワードを打ち込んでみることです。あと、その業界で著名な人を見つけてサイトなり探して、どのSNSを運用しているのか、1番反応のいいやつは何かを探してみるのも良いですね。
英語のサイトですが、世界各国のアクティブユーザーが多いSNSがなんなのかを知りたい場合はDATAREPORTALなんかはすごく参考になるのでおすすめですよ。
運用方針を決めるための調査
辛い現実を叩きつけますが、企業アカウントはSNSユーザーに受け入れられづらい傾向にあります。
これは日本だろうが海外だろうが同じです。
でも受け入れられるアカウントもたくさんあります。
その違いはなんでしょうか?
私はその違いは
顧客の発信をちゃんと調査して、顧客が何を知りたいかを探る努力をしているかどうか
だと考えています。
例えばサングラスのブランドアカウントで考えてみましょう。
A: カバンの中に入ってそうな小物と一緒に写るサングラスの画像
B: サングラスをかけて自分のファッションと合わせる人の様子を写した動画
どっちがより多くの情報が伝わりやすく、顧客が求めていそうでしょうか?
オシャレ画像でいいならAだけど、実際に買って欲しいならBの方が良さそうです。サングラスの形と顔の形の組み合わせって、その人の印象を決めるので実際に着用している人の雰囲気をみれるのは重要です。
このように、ただそのプラットフォームに顧客がたくさんいるという情報だけでなく、そこで顧客がどんな発信をしていて、コメントには何て書いてあって、どんな情報があればターゲットユーザーの悩みや課題が解決されそうなのかを調べます。もちろんSNSごとの特徴やアルゴリズムを理解することも大切なのですが、それより大切なことです。
こういう準備は発信内容に強く現れます。どんなコンテンツを発信するか、いいねやコメントにどう対応していくか、投稿頻度はどうするか、そういうのを固めていって着実に成長できるアカウントにするためには、顧客理解が必要です。
大変なんですけどね⭐️
Ahrefsで検索ニーズを調べたりするのはおすすめですよ。
SNSの中で表現されている意図ってこういうことだったのか!が見つかります。
2. 海外向けSNS運用で気を付けるポイント
ハッシュタグ、キーワード選定
日本には非常に多くの和製英語が存在します。
本来の英語が日本では違う意味で使われているケースもあれば、私たちはこれで伝わると思っている英語が現地では違う意味で使われているケースもあります。もちろん時代の流れで意味が変わってくる言葉もあります。
例えばSNSは日本でしか通じません。英語圏ではSocial Mediaです。
「Japanese Fabrics」と言われて英語圏の人が想像するのは「和柄の生地」です。「日本産の生地」ではありません。
私たちが日本人の感覚でキーワードやハッシュタグを決めてしまうことで、運用を始めて半年後に何がおこるでしょうか?
1番辛いのはアカウントのリーチが日本になります。
海外向けに一生懸命運用してきたアカウントなのに、気づけば日本のユーザーばかりが集まるアカウントに成長します。
また日本人にしかわからない英語での発信になることで、カレーを伝えたいのにシチューで伝わるみたいなことが発生します。
これを避けるために、まずは自分が思いついたキーワードでSNS検索してみましょう。検索結果に日本アカウントのコンテンツばかり出てきたらアウトです。何度か繰り返して海外アカウントのコンテンツが出てきたら、そのコンテンツに使われているハッシュタグを確認してください。そこから正解のキーワードが見つかるはずです。
タブーな表現
海外向けにSNS運用をする場合、気をつけなければならないのは「表現」です。
例えば日本では「女の子はピンク、男の子は青」みたいな表現ってよくあったと思います。「男の子はたくさん食べる」とか、「女の子にはおままごとセット」とか、男女で役割や特徴が区別される表現はタブーです。
これ、そんなのわかっとるわ!と思うかもしれないですが、マジで無意識に多くの人がやる表現です。
また国の歴史や今起きている問題を知らないが故の表現ミスもタブーです。
最近の話ですが、ZARAの新作コレクションがガザの戦闘を彷彿とさせるということで大炎上しています。ZARAはそれを表現したくて発表したものではないと声明を出しましたが、結局そのコレクションは非表示となりました。
直近で騒がれたのはMrs. GREEN APPLEのコロンブス事件ですね。
ZARAもミセスも、中身は素晴らしいけれど見せ方を間違えたケースですが、世界はこれを認めてくれません。
もう一つ大きなタブー表現は、体型やパーソナリティの多様性を認めない表現です。モデルに細い女性ばかりを起用する、恋人に男女のカップルのみを起用するのは、海外むけに活動をする上では危険です。
このように、世界にはタブーとされている価値観や表現がたくさんあります。正直全てを網羅するのは不可能です。大切なのはターゲット国のリサーチをしっかり行い、何がタブー視されているのかを見極めることです。私が上であげた3つのタブーも「英語圏では」という話であって、これがイスラム圏ではとか、どこかの国ではとか、自分たちが進出する場所によってルールが変わります。
海外向けSNS運用者が知っておいて損はない「あっちのノリ」
日本ではどこかの会社の公式アカウントがすごく人っぽくツイートしてバズることってたまにありますよね?
みんなそれに対して不謹慎だ!なんていうこともなく、すごくポジティブにコミュニケーションをとっていると思います。
海外SNS担当者様に知っていただきたいのは、「英語圏ではそれが普通」ということです。
ぜひ、怖がらずにユーザーからのコメントに反応してみてください。自社商品を使った投稿をしてくれていたら、積極的にメンションストーリーしてみてください。
英語圏ではSNSにもある種「人っぽさ」や「人としてのつながり」みたいのが好まれます。
その延長というわけではないのですが、SNSコンテンツにも「人」が出てくると好印象を与えることができます。
海外の顧客はブランドに対して「信頼」できる要素が欲しいんですよね。
日本のオンラインショッピング環境と違って詐欺サイトも多いし配送が雑だったり頼んだものがちゃんと届かない可能性が高いことを彼らはよく理解しているため、商品だけだとイマイチ安心感が伝わらないんです。
どんな人が売ってるの?どんな人から私は買い物するの?ということがわかると安心につながります。
ぜひブランドと顧客の敷居を作らずにSNS上で気軽にコミュニケーションをしてくださいね!
3. SNSのプロジェクトでの役割
ここまで読んでいただいた方は、この記事の中に「バズらせろ!」とか「フォロワーを増やせ!」とかそういう話は出てきていないことに気がついていただけるのではないかと思います。
私は海外進出プロジェクトにおけるSNSの役割はフェーズごとに段階があると考えていて、
プロジェクト立ち上げ〜2年くらい:顧客理解とコミュニケーション
3年目〜:集客とコミュニケーションと顧客理解
と考えています。
最初から集客の役割としてワークするのは広告をかけた場合で、その場合集客をしているのは広告でありSNS運用ではありません。
最初は顧客理解、コミュニケーションをとって顧客のニーズを知り、集客でき始まったらさらに新たな顧客とのコミュニケーションと理解を深めるという形が良いのではないかと思います!
4. KPI設定をどうするか
アカウントのSNSを運用する上で、最初に目標設定(KPI設定)を設定すると思います。
「1年後にフォロワー1万人!」とざっくり決めてしまうのは危険です。
どうやって現実的にKPI設定をするか迷ったら、ぜひSMART設計をしてみて欲しいのです。
SMART設計をすると、プロジェクトの目標や今ある人的リソースと照らし合わせて現実的な目標設定を行うことができます。
またSMART設計を行ったら、何をKPI指標とするべきかも明らかになるはずです。
優先度の高いKPIにするべき項目というのはSNSプラットフォームとSNS運用の目的によって変わります。
例えばSNSの目標を認知拡大とした時、「フォロワー」をKPIにあげるとします。フォロワーが増えれば認知拡大になるでしょうか?
実はフォロワーを獲得して得られるのは「雰囲気がよかったあのブランド」として認知しているユーザーだったりします。この時ブランド名やブランドの強みは認知していません。そうすると真の認知拡大にはなっていない気もしますよね。
フォロワーをKPIに上げるリスクはここにあります。同時にエンゲージメント数/率や他の項目もKPIとして計測していく必要があります。
5. 日本で知名度があるブランドこそ気をつけるべきこと
日本で知名度のあるブランドが陥る現象として、
「英語で海外時間で投稿していたけど日本にリーチした」というケースです。
なぜこういうことが起こるのかというと、ゼロからアカウントを始める場合、日本のアカウントで海外向けにアカウント始めました!と、海外アカウントをタグ付けして投稿したくなりますね?日本のアカウントを見ている海外ユーザーに知らせるためにもやりたいのはわかります。
しかし今のSNSのアルゴリズムを甘く見てはいけません。
日本のアカウントにリーチさせ、日本のアカウントからエンゲージメントを得ることで、AIが「このアカウントは日本向けや!」と判断します。
その状態で投稿やストーリーズを頑張っても、残念ながら日本にリーチし続けるのみです。
今時日本人でも大抵の人はある程度英語が読めるし、24時間どこでもSNSにアクセスします。
ちゃんとSNSのAIアルゴリズムに「このアカウントは海外向けですよ!」と教えてあげる必要があります。
日本のアカウントが数万フォロワーを抱えているとしても、そこまで培ったやり方を海外向けアカウントに反映させる場合は「いきなり日本にリーチするような行動はやめる」ことはマストで対策してください。
6. 最後に
「継続することが最も難しい」
というのは常々言われることですが、続けた人が成功のチャンスを掴むことができる。これはSNSにも言えることです。
私も続けることは難しいと常々感じています。
noteを書き続けることも、Twitterを発信し続けることも難しいです。
しかし私たちがこうした方がいいと伝えたことを、できない日があっても頑張って続けているブランドが着実に駆け上っていると感じています。
毎日できないからやらないのではなく、
「今日はできそうだしやってみようかな」というのを
積み重ねていただければと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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