夜勤の無い世界へ

女性は、本当に些細なことで揺れる性質があります。

また、東洋医学では女性は肝(臓器の肝臓ではありません)に由来する、と言われます。

肝とは、血を作り、血を貯め、自律神経を司る、と考えられています。

そんな女性にとって、ストレス過多、夜更かしは、良くない。
本当に良くない。

そんな2つを兼ね備えた仕事があります。
しかも、女性中心の世界。

それが、夜勤のある看護師です。

みなさんは徹夜をしたことはありますか?

若い頃、カラオケオールなどの経験がある方も多いのでは?

徹夜後の朝、胃は空っぽなのに、胃液が出ているような、どうにもこうにも具合の悪い感じを経験しませんでしたか?

朝方寝て、昼頃か夕方起きるけれど、疲れは取れていなくて、尚且つ生活リズムもそこで崩れて、一日棒にふる、なんて経験は?


私も学生時代はそんな徹夜を経験し、身体の辛さに「もう徹夜はしない」と誓ったものです。


まさか仕事で5年もそんな生活を続けるとは。

しかもカラオケオールのように、楽しいことを夜通ししているのではありません。


廊下を徘徊するせん妄状態の患者さんに罵倒を浴びせられたり、消火器を投げつけられそうになったり、

10分おきに下痢便が続く患者さんのオムツを朝まで替え続けたり、

2時間毎の巡回で、ベッドから落ちて倒れている患者さんを発見したり、

術後の患者さんの傷から出血があってそのまま緊急手術が始まったり、

緊急入院の患者さんが真夜中にやってきて、採血や点滴、色んな検査が始まって朝まで片時も離れられなかったり、

用もないのに5分おきにナースコールを鳴らし続ける患者さんに悩まされたり、

真夜中に叫び続ける患者さんの対応をしたり、

ベッドを抜け出してタバコを吸いに行った患者さんを探し回ったり、


書いていると、沢山ありすぎてなんだか笑えてきました。

よくやってたな、自分。笑


よく看護師をしていると言うと、
「えっ!じゃあやっぱ出るの?幽霊!」なんて聞かれることがとても多いですが、

ええ、出ます。
もちろんいますよ。
いない訳がありません。

だけど、看護師にとっては、幽霊よりもなによりも、
ベッドから落ちている患者さんや、お腹からの出血をしている患者さんを発見する方が、何倍も怖いのです。

幽霊は出てきてもなんにもしないけど、
それらの事態はようやく朝を迎えて安堵している私たちに、そこから超勤を強いるのです。

一文字も書けていない、12人分の記録を書かねばならない。

インシデントレポートを書いて上司に見せねばならない。


なんと過酷な現場なのでしょう。


私の場合、

最初は
15:30〜翌朝9:00までの15時間30分のシフトでした。

うち、休憩2時間。

それはもう、辛かった。

その後、法律が変わり、
18:15〜翌朝9:00までの、12時間45分のシフトに。
うち、休憩2時間。

この変化でだいぶ気持ちと身体は楽になりましたが、夜中起きていることには変わりありません。

辛いままです。

休憩は、取れる時もあれば、
一睡もできず朝まで走り回りっぱなしのことも。

夜中じゅう、蛍光灯の光を浴び続け、
PCのブルーライトも浴び続け、
2時間おきに点滴を作ったり、尿の量を見たり、細かい作業を行い、

ボロボロになって迎えた朝、
患者さんに、
「おはようございます(^^)よく眠れましたか?
(こちとら一睡もしてないけどね!!!!!)」
と笑顔を向けねばならない。

そしてそんな集中力なんて皆無の身体で、
採血や点滴用の血管確保など、集中力を必要とする作業を朝から再び行わねばならない。

「早く朝ごはんを持ってこい」
「早く朝の薬を持ってこい」
「そこのリモコンを取ってくれ」
「早く頭を洗ってくれ」
「また便が出てしまった、替えてくれ」
「今日の予定を早く教えてくれ」

という、ナースコールも、堰を切ったように鳴り出す。

作業や、患者さんの状態について、不満を言っているのではありません。

病院では、看護師は看護と介護を同時に行う必要があることは理解しています。

それは、日中であれば何の抵抗もなく出来ます。

しかし、夜勤は、3〜4人で46人ほどの患者さんを看て、右も左もわからない新人を教えつつ、事故や緊急手術などのイレギュラーなことにも対応していかねばならない。

集中力なんてなくなって当然の状況で、集中力がないと出来ないことをやらねばならない。

しかも、女性達が。

夜中起きていることが最も悪影響となる、子宮という、この世界でとても大切な臓器を持つ存在たちが。


何度、

「わたしも皆んなのように夜は寝たい」

「夜中に起きていて、集中力が高まる訳がない。事故が起きない方が不思議だ」

「人の健康を守る存在の人々が、看護師もしかり、そして医師もしかり、1番不健康な生活を強いられているのは、なんとも皮肉なことだ」

と思っていました。


そして、

「未来ある若い女性たちが、どうしてこんなに命を削らないといけないんだろう」

「 これからの世界を支えていく子供を授かる能力のある存在が、若いうちから体をボロボロにしているということに、みんな気づいていないのだろうか」

とも、思っていました。

わたしは、看護師をしている女性達が好きです。

とても尊敬しています。

自分の身を粉にしてでも、人の為に働いている。

どんな時でも、笑顔を見せる強さがある。

そしてどんな場面でも、怯まずになんとかしようという強さがある。

同じように看護師をしていて、心を病んだり、身体を壊したりして辞めていく先輩や同期、後輩を数多くみてきました。

みんなとても、頑張り屋さんでした。


わたしは自分が看護師を辞めた時、
そんな、人の為に自分をも捧げる素晴らしい女性たちを、守りたいと思いました。


みんなまだ、気づいていないだけで、知らないだけで、
きっと、もっとみんなが幸せになれる道があるはず、と思いました。

だから、わたしは夜勤に反対です。


夜勤がない世の中になれば良いと思います。


ナイチンゲールだって、夜勤のためにボロボロになっていく看護師たちは、見たくないはず。

それは望んでいないはず。


次の記事では、夜中起きていること、ストレス過多が、女性の身体にどう不具合を起こすのか、

夜勤によってわたしの体がどう変わってしまったのか、お伝えしたいと思います。

看護師である方にも、そうでない方にも、学校では教えてくれないことをお伝えしたいです。


長々とここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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