勝手に読後レビュー【俺ではない炎上】7種類の方には読んでもらいたい。
どうも、みことのは です。
今回は【俺ではない炎上】です。炎上逃亡劇と書かれてはいましたが、しっかりしたミステリーでした。
以下、できる限りのネタバレをしないように注意して書きましたが、流れやストーリーに触れることもありますので、その点はご容赦ください。
1、浅倉先生のミステリー作品
浅倉先生の作品はこれまで3つ読ませて頂きましたが、設定がいつも特殊で面白いですよね。
教室がひとりになるまで は特殊能力?を交えた、いつもの学生生活の中で起こるお話。
6人の嘘つきな大学生 は、就活の最終面接がグループディスカッションという、私自身読むのが初めての舞台設定。
そして今回の【俺ではない炎上】は、一見、無実の罪から逃げながら真実へ向かうサスペンスに見え、それはまぁ確かにそうなのですが、主人公を疑っている敵は警察というよりも【SNSを日常的に使い無自覚に他人を傷付け陥れる一般人や再生回数欲しさに過激な事を正当化しようと暴れがちなYouTuber】。非常に現代的で、非常にリアルで怖く感じました。
2、没入ポイント
今回はそもそも章立てではありません。その都度、A君→B君の様に、登場人物の名前が題名になり、視点が切り替わる事で物語が進んでいきます。
なので、没入ポイントはちょっと説明しづらいですね。代わりに、流れだけ簡単に説明しますと…、
①冒頭
既定路線の様に、主人公が無実の罪で疑われ、逃げます逃げます。最初は疑われて逃げるだけなので、『この苦悩から早く脱出したい!』という思いで読み進めます。
②物語の3分の2まで
ずっと主人公は不利です。途中オアシスだと感じるポイントはありますが、とは言えコンスタントに不利です。
正直、この手の逃走劇は一気読みというより、『早く形勢逆転・攻守交代にならないかなぁ』と願いながら読んでしまうのですが、今回はそんな感じではありませんでした。
あくまで私見ですが、物語を読み進めるに連れ、作者の浅倉さんが世に訴えかけたいこと、伝えたい想い、という事がまるで太文字で書かれているかのように自己主張してきます。
ミステリーでありながら、そういった所も読み応えのある【厚み】のある作品だと思います。
3、この本を読んでもらいたい方
この作品から滲み出る作者の想い。読んで頂きたい方々がいるんだろうなぁと感じました。なので、あくまで私が個人的に感じた【読んだほうが良いと思う方々】を勝手に列挙しておきます。ご容赦を。
①仕事である程度の成功を収めて、野心があって部下にも慕われてると思っている方
②不意に、たまに涙を流す奥さんの【涙の理由】がわからない、仕事を頑張っている旦那さん
③【旦那が働いて稼ぎ、妻は専業主婦として家事全般と育児をして、家を守る】という考えを相手に押し付け、会社の仕事のストレスの方がしんどいんだ!…とわけのわからない主張を心の中で抱えている方
④毎日の生活の中で、不都合な事があったり失敗したりすると、『自分のせいじゃない、自分は悪くない』と周りのせいにしがちな方
⑤SNSを多用して、自分の意見を発信している様に見えて、周りに同調して安心してるだけの方
⑥SNSを多用して、自分の意見を発信している様に見えて、逆張りが好きなだけで、あまのじゃくな主張をして【周りとは違う感】を醸し出したい方
⑦偉そうに賢そうに発信するが、口だけで動かない。社会が悪いと言って何かをした気になっている【言う事と映え方だけ意識高い系】な方
ちなみに私は、少し⑥の気があるかも・・・です(笑)
最後まで読み終え感じましたが、このお話は単なるミステリーやサスペンスじゃ無いような気がします。時代の在り方に自分のあり方を投影させ比較し、あり方を考えさせられるヒューマンドラマミステリーだと思います。
密室?クローズドサークル?アリバイ崩し?などの殺人事件を名探偵が解く王道ミステリーから、ちょっと違う世界を見てみたい方に本作はオススメです。ぜひ、ご一読ください。
では、また。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。