帆船の旅をしながら目標をつくる - 目標づくり Advent Calendar 2024 22日目

これは 目標づくり Advent Calendar 2024 22日目の記事です

目標づくりって大変ですよね……
自分の目標も大変だけど、チーム目標をつくったり、アドバイスするのにも一苦労です。
状況によっては期初目標が崩れたり、評価段階で確かに達成はしているけれど、上位目標との紐づけやすり合わせが不十分で評価に足りなかったりします。

今回は、私が実践している期初の目標づくりや定期的に目標をすり合わせる方法をご紹介します。


帆船の旅?

目標づくりは旅をするようなものだと思いますが、実際に旅をするわけではありません🙇‍♂️ 「帆船のふりかえり」というフレームワークを利用して目標づくりを考えてみようという試みです。
※ 本文章の最後に帆船(SailBoat、セイルボート)のふりかえりを紹介しているブログを貼っておきます。(みなさん素敵な旅をされています😊)

帆船のふりかえりの紹介

まずは、帆船のふりかえり の基本形をご紹介します。

帆船のふりかえり - 基本形

要素

:我々の目的地
:我々が目的地(島)にたどり着くための助けになるもの
:我々の旅を遅らせるもの・ブロッカー
:直面する(可能性のある)リスク
:我々の現在位置

ふりかえりの進め方

1. 島の位置に目標を付箋などに書いて貼る
2. 風の位置に助けになる出来事や状況を貼る
3. 錨の位置に阻害要因となる決まり事、出来事、状況を貼る
4. 岩の位置にリスクになる(可能性のある)ことを貼る
5. それぞれをカテゴライズする
6. 風を強めたり、ブロッカーやリスクに対するアクションを船の位置に貼る
7. 6.の付箋について、島に近づくために必要かどうかを
 吟味し、効率的な順番に並べ替えてアクションする


目標づくりのために帆船の周りをアップデート

基本形でも十分に機能すると考えますが、私が目標づくりのために利用している絵にアップデートしてみます。

下記のような絵になりました。

帆船のふりかえり - 目標づくり版

島を2つに分け、「虹の島」と「無人島」にしました。
また、「船」、「風」、「錨」、「岩」のほか、「太陽」、「雲」、「コンパス」、「沈没船(!?)」 を配置しました。要素を一つずつ紹介します。

1. 虹の島・無人島・船 - 目標


虹の島・無人島・船 の説明

虹の島・無人島・船 には、それぞれ 「状態目標・上位目標」、「結果目標」、「行動目標」をおきます。

状態目標・上位目標 (Outcome):虹の島
・達成したい理想的な状態や状況
・もしくは個人ならチーム、チームなら部署といった上位目標
結果目標 (Output):無人島
・状態目標を達成するために具体的に達成すべき成果や結果
・具体的で計測可能な目標
行動目標 (Activity):船
・結果目標を達成するために具体的に行うべき行動やタスク
・「いつまでに」「なにを」「どのくらい」

※ 各目標の説明は、仕事での「行動目標」「結果目標」「状態目標」の書き方とコツについて解説 (HR大学)を参考にさせていただきました。

2. 太陽 - ポジティブな状況


太陽の説明

太陽には、すでにわかっているポジティブな状況や環境をプロットしていきます。組織やチームの制度や協力してくれる人、社会情勢で我々の味方になってくれそうなことを貼ります。

3. 風・雲・錨・岩 - 願望と課題


風・雲・錨・岩の説明

風・雲・錨・岩には、それぞれ「こうなったらもっと良くなるな」という願望や課題を書きます。基本形と比較すると、風の役割が変わり、雲が新しく追加されました。

:我々の強み、さらに向上させると良くなること、獲得したい能力
:もやもやしているものや不安(はっきりしないもの、主観的)
:阻害要因・ブロッカー(明らかに存在しているもの)
:直面する(可能性のある)リスク

雲は 主観的ではっきりしない不安。錨はすでに明らかな阻害要因。岩は 今後発生しそうな問題や障害 を貼っていきます。

4. コンパス・沈没船 - わかったこと、やらなかったこと、結果がでなかったこと


コンパス・沈没船の説明

コンパスには、状態目標と結果目標を比較して得られた学びや気づきを書きます。
沈没船には、不穏ではありますが、やらない(やらなかった)ことや、結果が出なかったことを書きます。


進め方(例)

どのように使っても良いのですが、私の利用方法を紹介します。

期初の目標設定


目標設定の流れ
  1. 虹の島に、「状態目標」や「上位目標」をプロットします。

  2. 無人島に、「状態目標・上位目標」から思いついた "これが達成できたら状態目標が達成できたといえる" という「結果目標」をプロットします。(複数になる場合が多いです)

  3. 太陽に、「状態目標」「結果目標」の達成の力になってくれそうなポジティブな状況をプロットします。

  4. 風・雲・錨・岩に、「現状よりも良くなると目標達成できること」や「目標達成に向けて除外したい不安・阻害要因・リスク(悪い状況)」を思いつく限りプロットします。(必要であれば、出てきたものをカテゴライズする)

  5. 太陽・風・雲・錨・岩 をもとに、「良くなるための行動」や「悪い状況を除外する行動」を 船の上にプロットします。

  6. 無人島の付箋 と 船の付箋を眺めてみて、つながりを確認します。必要に応じて無人島の付箋を更新します。

  7. 虹の島と無人島の付箋を比較して、つながりを確認します。

  8. つながってないなぁと思ったときは、3〜7を繰り返します。

  9. 精緻化できた判断できたら、虹の島「状態目標・上位目標」を作った人(レビュアー) にレビューしてもらいます。

目標すりあわせ


目標すりあわせの流れ
  1. 虹の島 → 無人島 → 船の順に目標とつながりを説明します。

  2. 相手との違和感があったときは、1つずつ繋がりを確認していきます。違和感を言語化できたらコンパスの上にプロットします。この時点でやらないと決めた目標は沈没船に移動させます。

  3. 太陽・風・雲・錨・岩の内容を確認します。レビュアーとズレるポイントは、現状の認識がズレている可能性が高いです。また、レビュアーと十分に対話して状態目標がズレている可能性があれば、再考してもらうように促します。

  4. 太陽・風・雲・錨・岩 の内容がアップデートできたら、レビューを終了し、行動目標の更新を行います。

  5. 目標設定時の 8 を実施します。

  6. なんどか対話を繰り返し、認識合わせができたら期初の目標設定は完了です。

ふりかえり → 目標更新


目標更新の流れ
  1. 船の行動目標や無人島の結果目標についてふりかえり、達成したことは達成ゾーンに移動させます。

  2. 達成できなかったことは、なぜ達成できなかったのか?を考えて、コンパスのわかったことに記載していきます。結果が出なかったことは沈没船に移動します。

  3. 太陽・風・雲・錨・岩をアップデートします。

  4. 目標設定時の8 を実施して、船 (行動目標) と無人島 (結果目標) を更新します

  5. 目標レビューを実施して、すり合わせが完了して目標を更新したら完了とします。

ここまでのまとめ


帆船のふりかえりフレームワークを使った目標設定の方法の一例を紹介しました。帆船のふりかえりは、風・錨・岩で現状を表し、理想状態になるための現状のギャップを知り、埋めるための行動を洗い出しやすいフレームワークだと考えています。

上位目標との認識あわせ

ここまでで、現状把握→目標設定→目標すりあわせ→ふりかえり→目標更新までの流れを説明しましたが、いくつか私の言葉で補足します。

設定時やすりあわせ時にはどの目標についてなのかを認識を合わせる


よくある悩みとして、目標についての認識が揃わないことがあります。

その原因の一つとして、目標という概念が大きすぎてどの立ち位置のことを話しているかがズレている可能性があります。本記事では、状態目標、結果目標、行動目標として分けましたが、どのような目標であるかをしっかり認識する必要があります。

※ ご自身で設定するときも、今立てているのが行動目標なのか結果目標なのかを常に確認すると良いです。

上位目標と個人目標との関係性


今回は、夢の島を「状態目標・上位目標」と置いてしまいましたが、上位目標にはざっくりと以下の種類があると考えています。

上位目標

組織の大きさによって上位目標の数は変わりますが、個人目標の上にはチーム目標があり、その上には部門目標があり、最終的にはミッションにたどり着きます。

個人の目標が最終的にミッション達成に寄与するかまで考えることが理想ですが、これは非常に抽象的な話ですし、上位目標同士のつながりも考慮されて設定されているはずです。
そのため、個人でのつながりとしては組織目標(半期)までを見つつ、直近の上位目標との紐づけを考えると、個人目標のすり合わせがスムーズにいきやすいです。
※ ここでは、ミッションを最上位、ビジョンを中長期目標としていますが、これも会社によって異なります。

上位目標にも種類がある


上位目標も一つにまとめてしまいましたが、上位目標にも「状態目標」「結果目標」「行動目標」があります。

個人目標と上位目標の関係では、個人目標のそれぞれがチーム目標のそれぞれと紐づく形となり、個人の行動目標が結果としてチームの行動目標にもなります。
また、個人の行動目標によって得られた結果がチームの結果目標につながることもあります。

個人目標と上位目標の関係 1

一方で、個人の状態目標を達成することで、チームの行動目標が着手可能になることもあります。例えば、「資格試験に合格して国に認められた状態になって初めて着手できる行動目標」などがその例です。

個人目標と上位目標の関係 2

上位目標についても、どのカテゴリの目標であるかを考える必要があります。
以下のような問いを立てて自問自答、もしくは設定者と対話する必要があります。
・どのような行動をすればその目標を達成できるのか?
・どのような結果を出せばその目標を達成できるのか?
・どのような状態になればその目標を達成できるのか?

わかったことも成果である


今回、コンパスを記載した理由は、「わかったことや明確になったことも成果である」ことを強調したかったからです。
どうしても(特に行動目標について)"できたか" or "できないか"で判断してしまいます。できなかったものは評価ゼロでも悲しいです。

わかったこと・明確になったことで風や雲・岩、錨がより明確になり、次の結果目標や行動目標をより精度高く立てることができます。

上位目標も ズレていることがある


先述しましたが、上位目標に行くほど不確実性が高く抽象的です。不確実性を解消するには、仮説検証を繰り返し、わかったことを明確にして学習していく必要があります。また、抽象と具体を行き来してつながりがあるかを確認する必要があります。
個人目標は組織の中でも最も具体的な目標です。目標設定時 またはいくつかの行動を実行後に違和感が発生したら、ぜひ上位目標に対してフィードバックをしてください。

時代が追いついていなかった目標もある


最後に、沈没船という不穏なものを配置した理由について説明します。
基本的に立てた目標が間違っていることはないと考えています。
ただし、評価軸によって優先順位が下がったり、今やるべきではないと判断せざるを得ないことがあります。それは評価軸が変化したときや社会環境が変化したときに、急遽優先順位が高くなることがあります。

再度問題が発生したときに立てれば良いという考え方もありますが、「やらない」「現環境では結果が出なかった」理由も書いて残しておくと、近い将来役に立つことがあります。(なぜやらないんだっけ?と疑問に思ったときなど……よくある😢)

まとめ

今回は、帆船のふりかえりというフレームワークを使った目標設定と、上位目標と個人目標の関係性についてまとめてみました。

帆船は普段のふりかえりでも、現状(今の位置や課題など)を把握して次のアクションを洗い出せる非常に使い勝手の良いフレームワークです。これなら現在と理想のギャップを考える必要のある目標設定でも利用できるのではないかという思いから、目標設定での利用を考えていました。

もともとふりかえりのフレームワークでもあるので、更新期間や評価期間のふりかえりにも利用できて便利です。

目標設定に悩んでる方がいましたら、帆船の旅に出ながら目標設定を実施してみてはいかがでしょうか?


帆船(SailBoat、セイルボート)のふりかえり 紹介記事


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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