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切り絵が好きだった。
元々、幼い頃から絵や詩を描くのが好きだった。
漫画家を目指したこともあったけれど、続かずに挫折した。
そして、社会人になって、切り絵に夢中になった。
きっかけは、テレビで切り絵作家を見てからだ。
初めは、雑誌の絵や写真を真似して描き、ひたすらカッターで切った。
無心になれた。
出来上がった切り絵は、下手くそだったけど、何だか嬉しかった。
それから、一人暮らしを始めた後も、孤独や辛さや虚しさを埋めるように、切り絵に没頭した。
出来たものを見て、幸せな気分になれた。
時が経ち、環境も変わると、感性は鈍化して絵が描けなくなった。
現実に支配された感じがした。
けれど、歳を取るとはこういうものかと落とし込み、現実だけを見続けた。
今も、見続けている。
ふと、あの頃を思うと涙が出そうになる。
音楽が好きで、ナナナンキリコの漫画が好きで、文章が好きで、
とても暗く重たい人間だったけど、その分、感性はあった。
あの頃は辛かったけれど、感性は取り戻したいと思う。
ふと、そんなことを思ったのは、雪が積もった白い景色を見たからかな。