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ねい
2018年12月29日 21:11
年の瀬の東名高速道路の渋滞は、絢爛たる川だった。 フロントガラスの半分より上には、世界が逆さまでない隠れた恩恵を覗かせるように、底のない暗い空がまたがる。 さらに三分の一の高さには、光る橙を灯した一本草が並び、宙にもう一枚の滑走路を浮かべるも、そこを走る車は一台も見えない。 誰も走れない滑走路の下で、ようやく、尻に赤を灯す車たちが等間隔に流れていく。 これほどの赤い蛍を見る
2018年8月7日 14:17
午後11時、深夜の首都高を走る。大きく畝るコンクリートを滑り、目下にテールランプが直線に並ぶ様を見て、ここは空中に浮かぶ川だとおもう。ガードレールの堤防に、ライトの樹木が植えられ、何処までも続く道は、荒川顔負けの車専用の川にみえた。この川は人の作ったものだ。高速脇に佇むいくつもの赤い目をもつ巨人群たちの体は、所々明るく、その中でかすかなミニチュアの人影がみえる。 彼らは一様に誇らし