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ねい
2018年9月3日 16:29
京都置屋生まれの26歳元バンドマンとわたしは学部の友人に呼び出された飲み屋で出会った。 彼は 花屋と 商社と飲食店を 掛け持ちしながらカフェの開業資金を貯めていた。その飲食店で 同じ学部のわたしの友人と知り合い今夜の運びとなったのだ。初対面のその日、彼はわたしをこっぴどく馬鹿にした。その清々しいまでの こきおとされ方は衝撃だった。 あの時もう わたしは彼を好きになったのだと思
2018年9月3日 18:19
いちのつづき彼とわたしは、3つ目の季節を超えられなかった。 彼と1つ目の季節を超えるころ部屋で夕食を取っていると彼女と別れた、と聞かされた。 彼女いたの、と驚くよりもまずそりゃそうだろうとおもった。 その一言にそんなに影響力はなかった。 わたしは変わらず まっすぐに幼い。ただ、そんな不安定など どうでもよくなるほど彼は最初の時よりも 強く たしかにわたしを苛めるよう
2018年9月4日 00:09
いち。に。のつづき彼は1日に2つ以上の仕事をこなし深夜になると、木屋町へ わたしを連れ歩いた。 安いテキーラと焼酎ロック。太陽ラーメンと小沢健二エンドレスリピートのバー。三条から五条に下るまでの ビル 上から下のどこに美味しいものがあるか なぜ美味しいのか仕入れだとか 前歴だとか お通しのコストとかヒソヒソ声で 肩を抱き寄せ 教えた。ものすごく沢山の人に あの時 毎日会っ
2018年9月4日 14:34
さん。のつづき 彼と話さなくなって何日も経っても、彼とのことを終えることが出来ないでいた。 いや始まってもいない関係なのだから、そんなものなかったと 言い張る彼の言葉の通りに事実無い関係だったと 既成してしまえばよかった。 わたしが彼に そうしたように。 だけどあの日々と 彼のスポンジは 甘過ぎた。もう なにを好きなのかも わからないくらいじぶんのすべてに 彼がいてどうし
2018年9月7日 09:42
初恋の最も罪深いところはあの強烈な刷り込み力にあるとおもう。11歳からの6年間はキャンバスの下地を塗った。完成したその上に なんの色を重ねるも下地の凸凹は埋めきれなかった。恋のたびキャンバスの下地を触っては、産まれ直せないものかと 塗りたくった。11歳の子どもと言えば少し小さく見えるランドセルを背負い子ども用品では丈の合わない服を着ているが話してみれば警戒心の薄い素直さが
2018年9月7日 12:00
1/3のつづき彼女とは毎日ハグし合いたまに一緒のベッドに潜るようになった。2人は目を閉じ 寝ずに一緒に過ごした。友達なら、するんだろうすることだから、とおもいながらも背後から彼女を抱くわたしの手が15センチ上にズレるだけで この関係は 終わるのだ。柔らかくて温かいものを大切に抱きながら鼻に当たるシャンプーの香りに振り向かせたい狂おしさに 悶えた。初めての性は 恐怖と
2018年9月7日 15:47
2/3のつづき彼女の話に戻る。あの2人は付き合い始めた。 わたしは心から彼女の喜びを味わい、いよいよ自分が浮いていく。もう目で見えるものがテレビと変わりない。何だろうなコレ、何だわたし。心理学系の本を手に取り始め自分が離人症に当たるのでは と思いながら、本を閉まった。知ったから 何が変わるというのか。文字は救わない。文字が救えるものは文字の傷だけだ。わたしは積み
2018年9月2日 16:37
わたしの21才は、酒粕が大量に溶けたどぶろくのような恋を通らなくてはならなかった。 あのどぶろくは 今なお 心の檻の隅にあって、たまに蓋に手を伸ばしては、いやまだ、と開けられずにいるのを、もう10年は繰り返した。でももうそろそろ開けたい。目についてウザい。 そんな風に、せまい 恋の話を書きたくなったのが1週間くらい前のこと。あのせまい恋を思い出すと、世界をそうとしか見れなか
2018年9月26日 16:09
1・2・3・4・5・6高2の春、花見をしないかとアサミを誘った。地元には竜が眠るという池があって、そこでわたしの作った不細工な団子をツマミにビールを飲んだ。小さな子どもがわたしに近づいて話しかけた。心地よく回った酔いも手伝って、わたしは優しいお姉さんのようにその子に接していた。予想だにしないことが起きた。突然アサミはわたしの腕を引っ張り、狂ったように叫んだのだ。「わたしのるんばに
2018年9月9日 09:50
昨夜ツイッターで交換ノートがしたいなーと呟いたら、即座にDMをくれたひでさんとこんな遊びにお付き合いいただきました。早速もらったのが、こちら。貰ったnoteからは 忘れていた記憶が蘇った。やっぱりこういうことってある。誰かの言葉で内部に水が湧き、見過ごせないほど大きくなってしまう。もうこれはわたしの、生かされた しかちょっと返せないと おもってしまった。そうしなくては、
2018年9月25日 23:21
1・2・3・4・5・615歳のわたしは地元の進学校に通った。その前の春に、苦くて濃厚な初恋を終わらせていた。その後味のせいなのか、まともな高校生にはなれなかった。高1の夏休みは、親に内緒のコンビニのアルバイトで作ったお金と、親の知らないプリペイドの携帯電話にすくわれた。夜の密だけを吸う夜光虫のように過ごした。その甘さに慣れた体には、9月の残暑はよけいに堪えた。2学期にはいってす
2018年9月27日 10:53
1・2・3・4・5・6アサミとセンパイと、何人かで遊んだ、ある日の朝。寝息が聞こえて目を覚ますと、目の前にアサミの顔があった。化粧の下の白い肌がやわらかそうで、りんごの一番おいしいところを切り取ったような紅い唇の奥には、白い歯が小さく子どもの様に顔を出していた。さっきまでいたはずの男たちは姿が見えない。わたしはうすら寒くなり、人形のように可愛いアサミにくっついて寝ようとして、はっとした。
2018年9月28日 09:46
1・2・3・4・5・6その秋から冬のことは忘れられない。きっと、世界を敵に抵抗した。あの若さと情熱とエネルギーでもって、エベレストの山頂で舞いたい一匹の蝶だった。そして、たぶん、思い知るしかなかった。じぶんが17歳だということを。ここで出来る最大のことは、なんなのか。どこまでもあのわたしは、最大出力の矛先だけをかんがえていたんだ。◆その秋からアサミから夜中にかかっ
2018年9月28日 11:39
1・2・3・4・5・6その日は、高熱を出して動けなくなった。ふだん、38℃の熱があっても平気なのにその日だけは ベッドから降りることも水を飲むのも難しかった。テレビを久しぶりに観た。お昼の有名司会者が仕切る この番組がわたしは嫌いだった。あそこに座っている人たちは、いつも後頭部しか見えない。後ろを向いて笑っているのを、しあわせでいいね、と興ざめして見た。もうつかれた。もう