(詩)〜 焼けつく砂漠 〜 【昼は灼熱、夜は冷え込む荒涼とした砂漠を彷徨う様は滑稽な過去の自身が綴ったものです。】
360度、見渡す限り砂。
灼熱の太陽が、容赦なく躰を灼く。
躰中の水分が蒸発し、喉が貼りつく。
私には躰を覆う物も、喉を潤す物も無い。
よく見ると砂以外のモノが在る。
白いモノだ。
太陽はその白いモノからさえ、水分を奪う様だ。
行く宛てもないまま、ひたすら足を動かす。
太陽は真上から、照りつける。
砂は何処までもサラサラで、足を捕らわれ、
私は頭から、砂に突っ込んだ。
砂も灼かれていて、酷く熱い。
熱いと云うものではない。
痛い。
行く宛てもないまま、ひたすら足を動かす。
幾数日、さまよっているのか。
日中は灼熱の太陽に灼かれ、夜には冷え込みと
共に姿の見えぬ、獣の呻き声が襲う。
そして、また灼熱の太陽が登る。
陽炎の向こう側に樹木が見える。
水の流れる音がする。
行く宛てが決まった。足を動かす。
喜びを持った足取りは軽い。
存在するべきモノは存在しなかった。
失望を抱え、また、行く宛てもないまま、
ひたすら足を動かす。
足が向かったその先に、砂山が連なっている。
向こう側には、何かが在るかもしれない。
行く宛てが決まった。ひたすら足を動かす。
砂山の勾配は急で、砂は何処までも何処までも、サラサラとサラサラとしていて、足が沈み込み、なかなか登れない。
幾時間、そうしていただろう。
体力の限界はもう、とっくに超えている。
360度、見渡す限り砂。
灼熱の太陽が容赦なく躰を灼く。
砂と共に灼かれているのは、
躰だった白いモノ。
私も砂となっていく。
そして、砂漠の一部になる。
もう、足を動かす必要はない。
砂漠の砂となった私は、風に運ばれて行く。
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