【観た/2023年5本目】映画「私はいったい、何と闘っているのか」観ました。
【観た/2023年5本目】映画「私はいったい、何と闘っているのか」観ました。
【感想】
シュールとハートウォーミングを絶妙なさじ加減で混ぜ合わせた正統派家族ムービー!
まずストーリーとか脚本とか。
典型的なお仕事のドタバタ、そこからの家族物語、といった基本の方程式は踏襲しているものの。やっぱりあります一捻り。
職場で起こる事件のバリエーションの豊富さもさることながら、関連キャラクターの書き込みが実に細かい。
映画の最後の方ではひとりひとりの名前が覚えられるんじゃないかというくらい、のしっかり描写をしているのに散漫にならないのはさすが。
一方で家族側の描写は徐々に深める手法。
消して主人公だけに焦点を当てるのではなく、家族それぞれの「思い」をじっくりと、それでいてわりとテンポの良い台詞回しで見せています。
そして演出、演技。
前半のドタバタだけで引っ張っていっても上質なコメディになったはずなのに、
きっちり後半のしんみりに繋いでくるところ、これはグッと来ないわけがない。。。
しかもただのお父さん頑張れ映画に収まらず仕事の意味や家族のあり方にもきっちり踏み込んだ演出、
監督なりの答え、作家性を感じました。
さらに俳優陣。
安田顕さん、あれだけのモノローグと普通のセリフをこなしながら演技そのものがブレないのは本当にさすが。
小池栄子さんの豊かな母性と引きを十分に意識した表情の作り方はもはや名女優。今作のみならず何を観ても外れない。
ファーストサマーウイカさん、え、どこにいたの?というくらい普段のキャラを消して役に生きている!これは新鮮な発見でした。
しいていえばなんですが
・それでもモノローグが長く、多く、説明的すぎてしんどい。
・できちゃうからやらしちゃうのだろうけど、安田顕さんの感情の幅はもっと抑えてもらって良い。
ぐらいでしょうか。
さてさて。
生きていく。そのために働く。
家族を守りたい。だから働く。
ここに正解なんかなくて、もちろん不正解もない。
ただ、いずれにしても言えるのは、
優しさのスイッチが入ったとき、すべての物事に意味が生まれ、
世界は美しく色なす。
そんな当たり前を大事に大事に描いた映画。
とっても嫌いじゃないんだよな、こういうの(^o^)
【価点・つけるとしたら】
☆3.8です。