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【観た/2024年42本目】映画「あんのこと」観ました。


【感想】
ゆがみきった世界の果て、わずかな希望のさらにその先。
観なくてよいものなのか、世界に問う意欲作。

まずストーリー、脚本。
これは「事実に着想」とのこと。
綿密に取材を重ねたことがよくわかる展開。
目を背けたくても背けられない、映画館という空間を十分意識した手加減のなさ。
かなり踏み込んだストーリー設計は制作陣の覚悟を感じます。

次に演出演技。
まずは主演の河合優実さん。
ライジングスターの輝き。
無理に社会に放り込まれた少女の幼さ、無防備さを正確に表現。
緻密な役作りはちょっと狂気のようなものさえ感じます。
佐藤二朗さん、怪演。
コミカルな役より、今回のような役どころの方が本筋なんでしょう。
上手いし、等身大に見えるし、言うことなしです。
一方、稲垣吾郎さんは二人に挟まれると役どころが定まらずやや窮屈に感じました。

概ねよくできてる映画なのですが、残念だったのは2点。
・よくできすぎていて、実話ベースとはいえ、荒唐無稽に感じる展開があった。
・ところどころ描写のエッジが鈍く感じる所があり、じゃあそのシーンはいらないのでは?と感じる点も。
以上は多少の違和感を感じながらの鑑賞になりました。

さて。
朝起きて、仕事して、夕方テレビをつければ悲惨なニュースと、それをかき消さんばかりのバラエティに溢れた、この世界。
見ないふりをしていれば、見たいものだけ見ていれば、過ぎてゆく日々。
負荷をかけずに生きていくための処方箋ではあるのですが、不意に訪れる重い気持ち。
気づいている、ホントは同じ世界の出来事だと。
あんのような少女はきっとまれでは無く、あんの母親は数え切れないほど実在している。
それは隣の誰かかもしれないし、もしかしたら自分だったかもしれない。。。

社会にコミットする上で、このことを忘れるなという強いメッセージを感じました。
気持ちのよい終わり方の映画ではありませんがおすすめしたいと思います。

【評価・つけるとすれば】
3.9です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

もちろん「オススメ☆」です♪

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