[理系による「アート」解説] 抽象芸術活動として茶会
"茶会"の捉え方は色々あるのですが、ここでは抽象彫刻である茶器を用いてどのように客人をもてなすか、と定義します。
まず、客人をもてなすので、客人のことを知る必要があります。
客人が抽象芸術に理解がある方であれば井戸や楽など攻めた茶碗を使うことができますが、そうでない場合は天目や織部など分かりやすいものを使う必要があります。
また茶器や花瓶、掛け軸なども同様です。
あくまで、もてなすことが主題なので、自身の道具自慢になってはいけません。
が、客人を喜ばすためには自身の価値観の提案も必要なので、客人の教養にすべての合わせるのも無粋です。そこでポイントになるのが道具の組み合わせです。どの茶器のどの掛け軸とどの茶杓とどの…、を考える必要があり、ある意味ファッションと同じです。つまり、全身ブランド品だと無粋となり、組み合わせの中でオシャレを構築する必要があります。
茶会は抽象彫刻・美術の中から選択する必要があるため、茶会の主人は高い教養が必要になりますし、高価な道具を扱える度量も試されます。ブランド衣料が似合うためには、それに見合った人間的深みが必要なのと同様です。
また、抽象彫刻鑑賞だけではなく、茶を飲むカップとして実際に使用することになるので、茶を立てる・飲むという一連の行為が美しくあると抽象芸術活動として洗練されます。ということで、主人も客人もその所作が美しくある必要があり緊張感が溢れますが、それが見事に達成された場合は、そのうれしさもひとしおです。
ということで、茶会とは抽象彫刻を用いた抽象芸術活動を成功させるための共同作業とも言えます。
最後に、
あなたなら、見出し画像の茶室にどの道具をそろえ、どなたを、どのようにもてなしますか?
と考えると、茶会と茶道具の奥深さが分かると思います。