4.4 中央アメリカの音圧レベル規制 / 4.5 南アメリカの音圧レベル規制
この記事はAESによって2020年に公表されたイベント騒音と音響暴露についての文献(Technical Document),"Understanding and Managing Sound Exposure and Noise Pollution at Outdoor Events"についての和訳やこの文献を輪読する勉強会で得た知見などをまとめたものです。
Overviewなど各章の構成と概説については初回の記事をご覧ください。
前回の記事はこちら。
4.4 Central America
中央アメリカのほぼすべての国が労働についての騒音暴露規制を定めていますが、騒音公害に関する法律を定めている国はほとんどありません。
騒音公害に関する法律がある国はほとんどなく、音楽関連騒音に言及しているのは2カ国(ニカラグアとパナマ)だけです[171, 172]。
表4.6に、中米諸国で利用可能な騒音規制の詳細を示します。
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騒音公害を規制する法律は北米ほど多くはないですが、中米の法律はどれも比較的新しく、これらの国がこれらの問題に取り組み始めたばかりであることを示しています。
確認された規制のうち、半数は屋内と屋外の両方の制限と屋外イベントへの配慮を明記しています。(一定の時間内であれば規制の適用除外として許可が下りることを示しています)
北米のすべての規制と同様、A特性重みづけのみが使用されています。
パナマの規制では、音楽による騒音は65dBAまで認められていますが、それは非居住区域に限られるものです。
おそらくこれは、商業施設が顧客のために生演奏や音楽再生を行えるようにするためだと思われます。
ニカラグアは、イベント会場での制限値を110 dBとしていますが、これはWHOガイドラインのピーク制限値と同じです。
測定時にどのような重み付けをするのか、また110dBがC重み付けで測定されたピークリミットなのかは不明です。
もしC特性重みづけであれば、WHOのガイドラインに沿うことになるのですが、ここでの規定が曖昧なため、間違った使い方をされる可能性が高いと思われます。
4.5 South America
南アメリカの状況は中央アメリカと似ており、既存の職業騒音に関する法律を超える、ライブイベントに関する適切な騒音規制を策定する作業が近年行われているようです。
表4.7は、南米諸国で調査された騒音規制の詳細です。
南アメリカ諸国の中では、アルゼンチンとブラジルが最も広範な騒音規制を有しています。これらの国の多くの大都市が、国の法律を拡張したより詳細な法律を保有しています。
ブラジルのリオデジャネイロだけが、生活環境内の騒音に焦点を当てた(この場合、人々の快適さを確保することに焦点を当てた)規制を定めています[175]。
調査した規制のうち、周波数別の制限/調整に関する情報を持っているのはコロンビアのみです。
その他はすべて、主にA特性重みづけを使用しています。
各国の規制値は概ね一致していますが(通常、日中は50または55dBA、夜間は45dBA)、例外も見られます。
例えば、ガイアナは日中75 dBA、夜間60 dBAを許可しており[176]、これは長期間の暴露による聴覚障害の領域に入っていると思われるやや高いレベルです。
検討されたどの規制においても、イベントに関する騒音にはほとんど注意が払われていません。
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