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「オーストリア学派」について

Mjusui――Unread Sparksにて回答

1. 読み始めたとき、どのような心境でしたか?

新規事業の立ち上げに携わっていたときに、古典派、新古典派以外の経済学を集中的に学ぶ時期があり、シュンペーターについての本をいくつか読んだ後に、世紀末ウィーンという概念を知り、オーストリア学派が気になって読み始めました。

2. 読んでみて、心境はどう変化しましたか?

起業とは、すでにある機会を発見するのではなく、行動によって新たな機会を創り出すものである、ということがよく分かりました。

3. この本に、何を期待していましたか?

オーストリア学派は「起業家精神」という概念を重要視するということは前情報として知っていたので、経済全体というより起業家一人ひとりのマインドや行動に、応用しやすいのではないかと考えていました。

4. どのようなことが得られたと感じますか?

すでに市場に出回っている知識を集めてつなぎ合わせて機会を発見し戦略を立てる、というやり方は、多くの方が行っていると思いますが、起業家自身が行動することによって、これまでの市場には現れなかった新しい知識や機会が生み出されることで、市場自体が変容し、最適な戦略が変わっていくというダイナミックな市場の動きがあることを、よく理解できました。

5. 期待通りと感じたことを教えてください

起業は創造的な行為であるということが説明されていたことです。

6. 意外に感じたことを教えてください

オーストリア学派の初期の学者にカール・メンガーという人物がいますが、彼の研究は実は中世、近世のスペインの学者の研究成果に影響を受けているということです。

中世、近世にはハプスブルク家がスペインとオーストリアを統治していたことで、学術的にもスペインとオーストリアで影響を与えあっていたのだそうです。

また、今日の1万円と来年の1万円では、今日の1万円の方が価値が高いと感じる人が多いというところから、お金の時間価値という概念を導入し、利子が発生する根拠として指摘したのもオーストリア学派の業績なのだそうです。

7. 特に印象に残っていることは何ですか?

無人島に漂流したロビンソークルーソーという例えで、原始的な経済モデルから、いかにしてイノベーションが行われるのかを説明していたところです。

原始的な経済では、まず食料や住居の確保のために優先的に労働が行われますが、ある程度の備蓄ができ、労働しないでも生活できる時間が確保できたときにはじめて、食料をより効率的に収集するための道具であったり、生活をより良くするための方法といったイノベーションの活動に取り組むことができるようになります。現代においては、その備蓄を提供するのが銀行であり、だからこそイノベーションにおける銀行の役割の重要であると説かれています。

8. この本から、どれくらい影響を受けましたか?

人が何か新しいものを生み出すことなんて、できないのではないかと悩んでいた時期に、起業とは創造的な行為である、ということを論理的に説明されたので、迷いがなくなりました。

9. どのような人が、読むべきだと思いますか?

オーストリア学派について体系的かつ深く学びたい方には、とてもおすすめです。

10. その他この本について、何でも語ってください

オーストリア学派の中でも、比較的最近の人物で、ノーベル経済学賞も受賞したハイエクという人がいるのですが、この人は人生の中で何度も鬱になっており、そういった苦悩の中で生み出された業績には、感じるところもありました。


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