見出し画像

物流という仕事の話

『物流は日本の血流』

時間・場所を問わず走り続けている物流業のことを表した言葉だ。

物の出発地点を心臓とした時に日本中の端から端まで体を流れる血液のように送り届けられる物流業はどんな時も止まることは許されない。

そんな物流業に10年近く携わっていた私なりに思うことを書いてみた。


2021年を生きる私達はAmazon・楽天・メルカリ・ZOZOTOWN、その他にも数々のサイトを使い15cm×7cmの手のひらに収まる小さな世界で買い物を終えてしまう。

そして何気なく買ったものは当たり前のように2日あれば大体のものが手元に届く。

そんな当たり前を支えているのが物流業だ。

2020年9月の国交省発表によると宅配便取扱実績数は43億2349万個(2019年より1647万個増)となっており、日本の人口1億3000万人ほどに対して、単純計算だと年間で1人40個ちょっとは宅配便にお世話になっている計算となる。

43億個全てがネット通販やフリマアプリではないが、今まではお店に行ってお店で買うのが当たり前だった時代から、お店に行かずとも買える時代となり、買い主も売り主もお店や企業から個人へと変化している。

そんな流れの結果ここ10年で宅配便取扱実績数は10億個も増加しており、今後もこの流れは加速していくことが予想されているが、1つ大きな問題がある。

それは物を運ぶ側の人が圧倒的に足りなくなるという問題である。

皆さんは物流業にどんなイメージを持っているだろうか。

・寝ないで昼夜問わず走り続ける
・給料は高くない
・比較的年配の方が多い

こんなイメージを持っている方が沢山いると思うが、「寝ないで昼夜問わず走り続ける」というの少なくなってきており、今は法律上でも社会的にも労働時間は厳しく管理されており、法律を無視して事故など起こした日にはマスコミから大きなバッシングをくらうこともあり、多くの運送会社では法律に則り仕事をこなしている。

逆に給料や年齢層が高い点に関しては一昔前前からほとんど変わっておらず、年齢的な理由から引退していく人に比べて始める人が圧倒的に少ないのにも関わらず、運ぶ量はどんどん増えていくという負のスパイラルが発生しているのである。

勿論ただ黙って見ているのではなく大手運送会社は対策を打ち出している。

ヤマト運輸
・宅急便運賃の全面的値上げ
・12時〜14時の再配達時間指定を廃止
・当日の再配達依頼受付時間の前倒し

佐川急便
・企業イメージのブランド化
『佐川男子』『佐川女子』などのフレーズを生み出し、芸能人を起用したCMを放送
・日立物流との提携
・女性ドライバーの積極的な採用

少しずつ変化しているが、物流業全体のイメージは未だに低く見られていると思っている。

物流業自体は人と人を繋ぐ隙間から生まれた仕事だった為、下に見られやすい業種ではあるがそこには自分の大切なものを預けることができると言う信頼感の土台があってのものであり、ものを作る側の凄さは感じることが多いかもしれないが、なんの不快感もなく当たり前にものが届く世界となった今でこそ改めて物流業の大切さを感じても良いのではないかと思う。

仕事自体はキツくて安いが決められた日に届けてくれるのが当たり前、だけどその仕事をやりたいとは思わない。

それが本音のとこだと思う。

世界は誰かの仕事で出来ており物流業に関しても同じだ。

私達が当たり前のイメージから少しずつその当たり前の価値に気付くことで、物流業のイメージは変わっていき、当たり前にものが届く世界を守っていくことが出来るのだと思う。

物流業に大きな変革をもたらす自動運転も少しずつ近付いてはいるが、まだ先の話だ。

配達が中々来ないことに憤りを感じるのではなく小さな感謝を伝えられれば、そこから物流業のイメージは一歩ずつ変わっていくと思う。

止まることのない物流業の明るい未来を信じて。


それでは^ ^

いいなと思ったら応援しよう!