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アート記録前半戦

1 モダン・タイムス・イン・パリ 1925ー機械時代のアートとデザイン

機械はそもそもアートなのか?という議論があるけれど、私はデザインされたものとしてアート捉えてもいいと思っている。
機械をアートと捉える場合、モダンアートに属され、中でもレディメイドの作品を彷彿させることが多い。
今回の展示でもレディメイドとして展示されていたが、他の展示会との違いとしては、美術館で展示されるような"美術"と映画や工業・商業デザインが全てまるっと同じ空間にあったことが印象的だった。
機械に纏わる映画としてチャップリンのモダンタイムズがある。何回かみたことがあるが、やはり名作で、歯車の動きに美しさをも感じた。

ポーラ美術館

車まで置いてあった

2 フランク・ロイド・ライト

父が建築コンサルタントであることなどを理由として、我が家では建築の展覧会があると必ず、家族総出で美術館に行く。
考えてみるといつから建築ジャンルは美術館で展示されることになったのだろう。森美術館をはじめ、現代美術に秀でた美術館などが、建築に纏わる展覧会を何度か開催したことをきっかけに、いつの間にかどの美術館でも普通に催されるようになった気がする。
フランクロイドライトといえば帝国ホテルだけど、元々の建築を見ていくと、広い土地にしか建物を建ててこなかったのに、よく帝国ホテルを建てたなぁと思ってしまった。
ルコルビュジエもそうだけど、独特な文化や都市形態を持つ日本で建築をすることに対して興味を持つ欧米人が多かったのかも?
先に名前の出たコルビュジエとフランクロイドライトは真逆の建築思想だったからこそ、この共通点は興味深かった。

汐留パナソニック美術館

3 MARK LECKEY

すごく高尚なカウンターカルチャーを見たような感じだった。
展示会場の中央にあるのは巨大なスピーカーで、大音量で流れる音とモンタージュビデオによって時代を超越したような感覚になって圧倒させられた。(Fiorucci Made Me Hardcore with SoundSystem
しかし何といっても一番印象深いのは、天井に張り付いた巨大猫の風船。
カートゥーンからそのまま出てきたような風貌でポップなフィリックスは、実際にサイレント映画時代にいたキャラクターらしい。
解説に書いてあって印象的だったのは、古来エジプトで神として崇められていた猫が、現代で電化され普遍的になったという比較。でもアニメやポップカルチャーの中でアイコンとして崇められている点では昔とは変わらないかもしれない。(Felix the Cat

Louis Vuitton Espace

4 La lumière 大矢真梨子

展覧会名の通り、光を捉えた写真の数々で鮮やかなラインナップの写真展だった。
光は目に見えるようで物体として存在しないため、写真として写せば撮影者の感情をも映し出されていると感じた。また、繊細な構図であると同時に色はビビッドで力強く、鑑賞者のビタミンになりそうだった。

アニエスベーギャラリーブティック

表参道のこのエリア、通りはお気に入り

5 セイコーギャラリー
専用すぎる腕時計展

好きなものを突き詰めた人(オタク?)用のいろいろな時計を展示した企画。
商品化の予定はないようだけど、楽しい時計だらけだった。商品化がないからこそ、金額や万人受けを狙わないデザインで尖っていて面白かった。
すきやきのレシピを教えてくれる時計の図解なども共有されていて、楽しいことに本気になれるのが最高だなと思った。

Seiko Seed

パンダ好きのための時計
手芸用の時計のパーツ
実際に装着してみた

6 Ecology: Dialogue on Circulations
ダイアローグ2 「つかの間の停泊者」

作品がどの土地で作られたのか、が大きく影響してくるものが多かった印象。

Kate Newby
Nicolas Flocʼh


例えば、保良雄さんは福島県大熊町の稲藁でできた和紙のカーテン?で仕切られた空間を作っていて、原発による避難地域を思わせた。
和紙には無数の穴があり、かなりの透け感もあるので、立ち入り禁止エリアとそうでないエリアは紙一重であると表現されているような気がした。カーテンをめくって中に入ることもできた。
カーテンの外側には数箇所にドラムが設置してあり、カーテン内部で規則的に点滅するライトと連動してオレンジの精油が垂れるインスタレーションとなっていた。
どれも表現の正解はわからないけれど、視覚・嗅覚・触覚による表現が網羅されているのにインスタレーションのタイトルである"noise"と直結するであろう聴覚は表現がほとんどないところが気になった。
音といえば精油が時折垂れる時の一瞬だろうか。でもかえって耳を澄ませるといろいろと気づくことがあるというメッセージがありそう。

実はLe studioの映画鑑賞のついでにmuseumも。
たまたま足を伸ばしてよかった!大満足。

Le Studioでは"セラヴィ"を鑑賞。ミニシアターだけど、座り心地のいい椅子と雰囲気の良さでかなり没入感あり。また行きたい!

GINZA MAISON HERMÈS

7 オノマトペ処方展

童心に帰って擬音語スタンプをペタペタと押してしまうほど楽しい展示会だった。
オノマトペを口に出すことで潜在能力を発揮できると書いてあって、これからは言っていこう(場を読んでこっそりとすることもあるかも笑)と思った。
卓球選手がよく分からない掛け声を言っている理由が分かったかも?

オノマトペ瓶はデザインが秀逸で映え。
無心でスタンプを押してしまった。

ITOCHU SDGs STUDIO

8 テルマエ展 お風呂で繋がる古代ローマと日本

何と本年2度目のパナソニック美術館。最近自分の中のヒットが多い美術館です。
今回の副題が"お風呂でつながる古代ローマと日本"であったように、ナポリやポンペイなども含めてイタリアで実際に展示されていたものを見ることができた。
展示のされ方が恐らく現地の博物館のようにサラッと置かれている感じが逆に良かった。
対して日本の展示パートではジオラマや広告などで日本の銭湯やお風呂グッズの歴史を見ることができた。自分のいない時代だけどノスタルジックなところが癒しだった。

ヤマザキさんの絵は欠かせない。
こちらはルシウスの等身大?パネル。

炭化したパンが可愛いグッズとして売られているのが凄く惹かれた。
ぬいぐるみもだいぶアバンギャルドだけど、ポストカードは採算が取れると思ったのかな(買った)笑

購入品


汐留パナソニック美術館

9 所蔵コレクション展「人物を描く」
企画展「長谷川町子のデザイン」

定期的に会うものの久々に会った友人たちと涼を求めてたまたま辿り着いたものの、ヒット!面白かった。
長谷川町子さんは知られる通り、サザエさんの作者だけど他にも実はヒット作がいくつかあって連載中でない今でもどこかで見たことのあるイラストも多くその認知度に驚いた。
展覧会では所蔵コレクション展「人物を描く」と企画展「長谷川町子のデザイン」が開催。
作者には漫画の才能だけでなく、時代が変化しても受け入れられるデザインセンスの良さがあることを知ったし、そのセンスがあるからこそキャッチーな漫画が生まれたと分かった。
今でこそサザエさんは色々な服を着てオシャレなところもあるけれど、連載開始時は読者からキャラクターを覚えてもらうためにシンプルで同じ服を着続けていたという。
ある時、読者から「もっといろんな服を着せてあげてほしい」という要望があり、今の形になったというけれど、変わらぬ髪型で印象深さは充分だった気はする。
確かに連載時に流行の髪型だったから、当時でいうと差別化ポイントにはならなかったのかもしれないけれど、それは今の感覚だとちょっと分からないかも。
所蔵作品は豪華でピカソやシャガールがあった。岸田劉生の点数が多かった。

館内にはサザエさんデザインが沢山
入館料のうち100円を喫茶で使えるチケットで還元。
ただチケットデザインが可愛すぎて使えなかった。


長谷川町子美術館

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