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自殺に効く薬

私は一年が三六五日あれば三六六日「はやく死にたい」と思っているクチだが、今のところ自死を選ぶつもりはない。
借りてる部屋を事故物件にしたくないからだ。
事故物件、汚部屋、特殊清掃……ここら辺のワードはここ数年のトレンドと言ってよく、関連書籍もたくさん出ている。
その一冊でも読んだら、とても室内で死を選ぶ気にはなれない。
大抵死を希求する人間は「自分に生きる価値はない。生きていると他人に迷惑がかかる」と思っているが、誤りだ。
死んだ方がより迷惑をかける。
賃貸なら大家や管理会社、他の入居者に迷惑をかけるし、持ち家でも遺族が事後処理で困る。
夏場にGに遭遇すれば一匹でも恐怖なのに自分の腐乱死体に何百何千と群がってるところを想像して欲しい。
「孤独死、ダメ絶対」である。
事故物件や特殊清掃の関連書籍でおすすめなのは「事故物件怪談 恐い間取り」(松原タニシ)「不浄を拭うひと」(沖田×華)のシリーズだ。
深刻さや陰惨さを押し出す事も可能なテーマではあるが、あまりにハードモードな語り口だと「やっぱりこの世は生き地獄……」とまたぞろ生きる気力を損なうので、ユーモアだったり、怪談テイストの加味された物が私の好みだ。
ホラーが苦手で未だに「リング」を観れないほど怖がりなのに、これがオカルトやスピリチュアルのジャンルに寄ると読めてしまう不思議。
目に映るものだけがこの世の全てだと息苦しい。つらい人生を生きていくうえでの通気孔のような効果もこれらの本にはあると思う。
ついでに終活についても考えるきっかけになった。
「できれば自宅で死にたい」「畳の上で死にたい」などともよく言われるが、病院で亡くなるのが一番コストパフォーマンスが良い、そう思った次第である。

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