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珠数を売っていない珠数屋
「すみませ~ん、珠数が欲しいんですけど~」って、お客さんに言われるとドキドキする。否、お客さんは間違っていない。ちゃんと珠数屋に来て、珠数が欲しいと言っている。
私は珠数職人で、うちは珠数屋のはず…。
普段は、だいたい近所のおじぃちゃんおばぁちゃん(もはや顔なじみ)が「お線香ちょうだ~い」と言って来てくれることが殆ど。珠数スペースの3倍くらいのスペースにお線香を置いている。
だから稀に「珠数が欲しいんですけど~」と来られるとドキドキジタバタする…だって店に珠数がない。
いやいや珠数はある!売るほどある!!
なのに売っていない…。
今日、来られたお客様は、歳は私と同じくらい、女性おひとり。「全然わからないんですけど~」と言いながら来られたので、一般的なものを見せながら簡単に説明。
うちの店に置いてある数すくない珠数を見ながら真剣に迷っていたので、ちょっと提案してみる。
「何かご希望とかありますか?お時間いただければ、ご用意しますよ」
「カタログとかってことですか?」とお客様
「カタログ??…えっと、奥で私が作っているので」と言うと
「えっ⁉そうなんですか?」と表情がパッと明るくなる、この瞬間が私は好き。その後は、どんな素材が良い、この石を入れたい、あの色の房を付けたい…と要望を言ってくれる。
好きなモノを選んでほしい、と思う。
だから、お客様の気に入るモノをつくりたい。
それに、作り置きをしておくと、時間が経てば糸が緩むし変色してくる。食べ物ではないけれど、お客様にはなるべく出来たてをお渡ししたい。
というわけで、珠数は売るほどあるのに店で売っていないという状況になる。同僚には「もっと商品を置かなあかんでぇ」とか「売る珠数ないねん」とか、ちょいちょい言われてる…手が足りていないという部分もあるから強くは言われないけれど。もっと作り置きした方が良いのかな~と私も思っていないわけじゃない。
いっそうのことオーダーメイドをうたってしまえれば良いのだけれど、店以外の仕事(本業)が立て込んでいる時、対応ができなくなってしまう。私の手の空き具合で、お客様への対応が変わってしまうのは、不公平感があって気持ちよくないのも分かっている。…悩むところ。
ただ、自分がお客様側に立った時に相手を急かしたくないな、とも思う。
急かされればミスにつながりやすいし、落ち着いて気持ちよく仕事をしてもらいたい。その方が、お客様にとっても知らないうちにメリットを得ている場合が多いと思うから。
「急に入り用で…」というのも分かるけれど、なるべくなるべく余裕をもってお店に行った方が、より希望のモノに出会える可能性は上がると思う。
本日の珠数つなぎ
![](https://assets.st-note.com/img/1733752428-I7myWfLPVE8xqRCO4kNG6zd3.jpg?width=1200)
密教法具の羯磨がデザインされた真鍮金具
![](https://assets.st-note.com/img/1733752561-jkZfbpNsR0VJTKg7aAtlBUX4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1733752612-9bNYaiznyefXIMJ1PxCOwEjD.jpg?width=1200)
本当は、すべてオーダーメイドにしたい。
やりたいこと、やれること、やらなきゃいけないこと、全部やりたくて悩む…うぅぅっ優先順位がつけられない。そんなことを言っているうちに今年も終わる…ん?今年の仕事、年内に終わるのか??・・・