久びさの東京国立近代美術館工芸館
先週、一ヶ月半振りに東京国立近代美術館工芸館に行ってみました。前回はデザインがテーマに展示でしたが、久々に訪れると、だいぶ違った展示になっていました。
「みた?」という大きなタイトルの下に、「こどもからの挑戦状」という副題が付されていまして、展示を見て描いた子供の絵や感想と一緒に展示されています。こどもだからと言って決して単純な感想が書かれている訳ではなく、余計な偏見が無い分、むしろ自分自身の言葉で述べられており、中には鋭い観察眼を感じさせるものもあります。
これは、逆に言えば、知識や経験が邪魔をして自分自身の目と感覚で作品としっかりと向き合えない大人の鑑賞態度への警鐘とも言えます。作品を見ているようで見ていない大人の鑑賞態度に対してこどもの言葉を借りて「みた?」と問うているのです。
美術館ですから、そもそも見識のある人によって既に高い評価がなされた品々しか展示されていません。その為、ついつい自分にはそこまでの目利き力などないと素直な気持ちで作品に向き合うことが出来なくなってしまいますよね。無理に分かろうとするから楽しめなくなってしまう訳です。
いつ誰が作ったとか、何で出来ているのかと言った専門知識や創作についてのエピソードなどはいったん後回しにして、作品そのものを味わいたいものです。美術品と違って、工芸品は実際に利用する中でその機能美を愛でるものと思いますし。
そこで、第一印象で自分にとって、これはかっこいいいいな、実際に使ってみたいな、と思ったものを、色や模様別にいくつか撮って来ました。
まずは、銀色。これで呑んで酔うと本当に銀狐が出てきそう。でも徳利にしては大きいかな?
赤銅色の棗(なつめ)。お茶が円やかになりそう。手に馴染むかどうか、キュッと絞って開け閉めしてみたい…
怪しい縞々の二人組。ボーダーシャツ来たらペアルックですね。回ってないとけど目が回ります。
どこも同じ色ではない光輝く緑色。宝物を容れるのではなくて、容れたものが宝物ということになりそう
青と赤のコントラストが素晴らしいナントカトリオ。これで飲んだらどんな味がするのだろうか。実験してみたい…
白い貝がら形の大きな器。こんな形のお菓子無かったでしたっけ?チョコレートだったかな?
ゆっくり回る金魚皿。お水は入っていません。
色んな色、色んな形なのに、そこにある統一感。ディズニーランドとかに置いてありそう
麦模様の織物。心はいつも豊作!
輪ゴム模様の織物。たくさんゴム鉄砲で遊べそう
完璧な竹、生け花用の花瓶。どこにも節を削った痕がない!
少し斜めな不思議の国の容れ物たち。おかしなティーパーティな世界から飛び出して来たみたいです。
織物の模様は光の模様。暫し見惚れました…
ゆっくりと座って寛ぎながら絵を見て一休み
照明の変化で、絵も動いているように見えます。
大きさの概念がぶち壊される体験もできました
どんな気持ちが沸き起こるのかは、鑑賞者の心の持ちよう次第。グニュグニュになって来たところで、今回は退散。
国立近代美術館工芸館が、石川県に移転してしまう前に一度は訪れて価値のある場所だと思いますよ。会期は9月1日までで、8月いっぱいやっていますので、今年の夏の思い出作りに親子で(お一人でも)どうぞ!