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タイの政治経済について難しいことを書いています。

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素人によるタイの政治経済についてのまとめです。自分の備忘目的にて、有料マガジン設定しておりますが全くオススメしません。
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#エネルギー政策

ミャンマーでのガス田開発とタイ向けパイプライン

ミャンマーでのガス田開発とタイ向けパイプライン

前回ご説明したようにタイとラオスとは電力線グリッドで繋がっているが、一方でミャンマーとタイはガス・パイプラインで繋がっているのをご存知だろうか?

以前、タイとミャンマーの国境貿易に関する記事においても触れたが、タイは1998年以降、アンダマン海に位置するガス田からパイプラインを通じてミャンマー産の天然ガスを輸入しており、近年はタイにおけるガス需要の15~20%を占めている。

(出典:BP公表資

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ラオスにおける電源開発とタイの関わり

ラオスにおける電源開発とタイの関わり

前回からかなり間が空いてしまいましたが、今回は「タイのエネルギー事情について」の連載第3回。過去の記事をご覧頂ける方は、目次はこちらとなります。

* * * * *

タイの隣国ラオスは「東南アジアのバッテリー」とも称されることがあるが、その主たる電力源はメコン川水系の水力発電である。タイも東北地方はメコン川水系に属するが、首都バンコクからタイ北部にかけてはチャオプラヤー川水系となる。メコン川は

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タイ国内の石炭火力発電に対するアレルギーについて

タイ国内の石炭火力発電に対するアレルギーについて

一度染みついてしまった認識を改めるというのは難しい。タイの場合、過去に深刻な公害をもたらしてしまった石炭火力発電所がそれに当たる。

タイ北部メーモの発電所(โรงไฟฟ้าแม่เมาะ)は、タイ国内産で露天掘りされた安価な褐炭(イグナイト)を使う火力発電所だが、脱硫装置を付けることなく稼働し、周辺住民に深刻な健康被害をもたらしたことで、石炭火力発電所=公害の元凶と見做されるようになった。

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タイの電源開発計画(PDP)

タイの電源開発計画(PDP)

タイのエネルギー省は 昨年(2017年)5月に、電源開発計画(PDP、Power Devlopment Plan)を見直すと宣言し、関係機関と共同で新たな計画を作成すると発表した。

その理由・背景をご存知だろうか?

現在、公表されているタイ電源開発計画は、2015年版のPDPで、対象期間は2015~2036年。今後20年以内に計5,746万kW分の発電所を新設又は増設する一方、電源構成を201

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【目次編】タイのエネルギー事情について

【目次編】タイのエネルギー事情について

一国の経済発展及び経済規模は、持続的に利用可能なエネルギー源の制約を受けるため、エネルギー安全保障は、国家の経済発展計画の根幹を成すものと言っても過言ではない。

また、本来、一国のエネルギー安全保障は、当該国の政府当局が考えるべき専権事項であり、外国人がとやかくいう話ではない。しかしながら、国際社会において、ある国の置かれた状況や今後の可能性を把握しようとした場合、エネルギー安全保障の観点は、外

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