あなたの日本語はまちがっていますよ! 2-①
2、「いかが致しますか?」①
これは、非常に恥ずかしい誤用だ。なぜなら、大きな間違いが複合しているからである。段階を踏んで、誰にもわかりやすいように説明する。
まず、この「いかが致しますか?」の敬語を外した「常体」に戻して考える。「いかが致しますか?」を常体に戻すと「いかがしますか?」、もっと簡単にすると「どうしますか?」である。
コンビニで「温めますか?」や「お箸をお付けしますか?」というまちがった日本語が話されている。この「温めますか?」や「お箸お付けしますか?」がまちがっていることに、まずは気づかなければならない。
「温めますか?」や「お箸をお付けしますか?」の主体(主語)は誰か?ここが重要なポイントである。
「温める」「箸を付ける」の主体(主語)は、前後関係から判断すると明確に「私(店員)」である。商品のお弁当を温めたり、それにお箸を付けて渡したりするのは「私(店員)」である。
・「私(店員)が」弁当を「温める」
・「私(店員)が」弁当に「箸を付ける」
ところが「〜しますか?」の文の成り立ちとしての主体(主語)は誰か?例えば「買い物をしますか?」の主体は「あなたは」である。「私は 買い物をしますか?」という文は、意味論から考えて、普通は成り立たない。「私」が記憶喪失など特殊な場合においてのみ成り立つが、通常は「私は 買い物をしますか?」という文は存在し得ない。
・◯ 「あなたは」 普段 買い物をしますか?
・× 「私は」 普段 買い物をしますか?
「温める」「箸を付ける」の主体(主語)は明確に「私(店員)」であるから、「温める」「箸を付ける」に「しますか?」を接続して「温めますか?」「箸を付けますか?」などにした文は、修飾関係がねじれているので、文として成り立っていないということである。
・× 私(店員)は お弁当を 温めますか?
・× 私(店員)は お箸を お付けしますか?
文法のまちがい(修飾のねじれ)
・× あなたは お弁当を 温めますか?
私(客)は、弁当を温められない
・× あなたは お箸を お付けしますか?
私(客)は、かってに箸を付けられない
(「お付けします」は謙譲語なので、「あなた」の動作には不適)
だから、「温めますか?」「お箸をお付けしますか?」を正しい日本語にすると
・◯ 温めましょうか?
・◎ お温め致しましょうか?
・◯ お箸をお付けしましょうか?
・◎ お箸をお付け致しましょうか?
となる。
ここまでの説明が、ご理解頂けただろうか。ここまでの説明が理解できなければ、そういう人はそもそも「正しい日本語」など語る資格がないということである。(【2、「いかが致しますか?」②】へ続く)
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「あなたの日本語は、まちがっていますよ!」と言いながら自分こそが間違った日本語を垂れ流している人達は、もちろんそのことに全く気付いていない。だからいくら「あなたのその理解こそ間違っていますよ」と指摘したところで、蛙の面に水、決して直しはしないし、「あれ、もしかしたら間違って理解しているのかなあ」という反省もない。そしてそれに騙された人達が、また間違った日本語を広めている。
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