あなたの日本語はまちがっていますよ 7
7、号泣
「号泣」とは、おいおい、オンオン、うわーん、と声を上げて叫び泣くことだ。
ところがテレビにかかると、ほんの少し涙を流しただけで「女優の××が号泣」と言う。もちろん、ネットでもそのように使われていることが多い。
ちょっと調べてみたら、「号泣」を「大量の涙を流すが、声を押し殺して泣くこと」などという間違った意味で理解している人が増えてきているという。
仮に(仮に、よ!)そこまで許容するとしても、はらりと流した涙を以て「号泣」とは、間違いも甚だしい。
視聴率やページヴューを稼がなければならないところは、とにかく大袈裟な表現で、視聴を誘わなければならないから、涙を流しただけで「号泣」、クスりと笑う程度で「大爆笑」、ネタで軽く怒っただけで「大激怒」などなど、嘘の見出しを書く。
(一人で笑っている状態を指して「大爆笑」などとキャプションやナレーションを入れている場合がある。一人で「爆笑」はできませんよ!)
メディアの自分勝手な嘘は、こうして文化を破壊しているのだ。
今回はここまで。
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「あなたの日本語は、まちがっていますよ!」と言いながら自分こそが間違った日本語を垂れ流している人達は、もちろんそのことに全く気付いていない。だからいくら「あなたのその理解こそ間違っていますよ」と指摘したところで、蛙の面に水、決して直しはしないし、「あれ、もしかしたら間違って理解しているのかなあ」という反省もない。そしてそれに騙された人達が、また間違った日本語を広めている。