みずのモデル商会アバターの設定・資料・ギミック全部語りたい! 第15回
それでは第15回『夕染雲(ゆうぞめぐも)』前編です。
なんか思い付きで作ろうと思ったセイレーンさん。
BOOTH解説
異国の上級神に仕える下級神がなんやかんやあって極東の地に流れ着き、住み着くうちに受け入れられて民俗神となりました。持っていた神性は微々たるものだったものの、土着の神の話を聞くくらいはできたので、昔と同じく神に仕えるお役目、巫女として崇められています。
その姿は夕陽を鮮やかに映す雲のようであり、暮れの水面のような鱗をもっていたとされます。
環境による影響などを観測するため、信仰、同調してくれる依代を募集しています。
モンスターではない……神だッ!!!
というわけで文面を変えています。
製作の話
私がよく行くモンスター娘の集会では、人魚系とハーピー系の方々をよく見かけます。すいすい泳いでいるのも良い。ふわふわ羽をたなびかせているのも良い。
いやしかし、私は一つ気になっていることがありました。
人魚が立ち泳ぎしてる。
うん、人魚という種族であるということが大事なのは分かるし、VRChatのヒューマノイドという設定上、人間であることが前提の構造になっているので難しいのは分かるよ?
だが! 私は宙を泳ぎたい! にんぎょにんぎょしたい!
というわけで自分のための人魚を作ることにしました。でも人魚といっても、マーメイドもいるしセイレーンもいるしローレライもいるし他にもいろいろいるらしいじゃないですか。(参照 : Wikipedia)
ざっくり解説
一番古くに登場するのがセイレーンです。ギリシャの神話に登場する海の怪物。古い文献では下半身が鳥の姿をしていると表記されています。
しかし時代が進むにつれて、下半身が人魚に変わっていきます。ギリシア語では羽根と鱗が同じ単語で、近いラテン語でもスペルで一文字違い。文章では鳥なのに挿絵は魚だったり、他所の伝承も含めて海の怪物全般をセイレーンと呼ぶことにしたとか、諸説も諸説。
で、変化した海に住む下半身魚の怪物を全般をマーメイドと呼ぶようになります。世界中に下半身魚の魔物伝説がたくさんあったので、人魚の総括的な呼び方です。
そのたくさんある伝説の一つにローレライがあります。川の難所の大岩に現れ、船頭を魅了して船を沈め……って、川魚かよお前!?
話を戻してセイレーンの話。
BOOTHの解説でも書いた通り、セイレーンは名のある上級神に仕えていた下級神の種族名です。セイレーンのなんとかさんみたいな。神というより取り巻きの精霊みたいな。初登場時はまだ人型です。
ある日、仕えていた上級神が、他の上級神に誘拐されてしまいます。攫われた主人を探すために翼を得たとか、悲しんでたらウジウジすんなって他の神怒られて鳥にされたとか、これも諸説ですが、ともかく鳥にされてしまいました。
その後島に棲み始めて人間の船を沈めたりしてたら、歌勝負に負けて羽根をむしられたり、対策講じられて制約と誓約によって岩になったりと散々な末路を辿ります。
そもそもの登場が悪役としての起用なので仕方ないとはいえ、ちょっと不憫か? かわいそうはかわいい?
とりあえず今回のアバターでセイレーンを作ることを決め、絵を描きながら考えていた時のこと。人魚なら青系で描いていましたが、カラーサークルをくるくるしていた時にオレンジ色にしてみた所、思ったより金魚になってしまいました。和風もいいな……下半身は金魚なら、上半身は同色系で朱鷺だな……。服は? そう、神に仕えるのなら自身が神でも巫女でしょ。作ったことないし巫女服にしよ。伝説で飛ぶのなら羽衣もつけとこ。
というわけで、腕は朱鷺のハーピー、下半身は金魚のマーメイド、役職は巫女で天女という欲張りセットが生まれたのでした。草案描いてる時は何も調べてないので、朱鷺の羽根の色具合とか巫女袴の構造とか金魚の尾びれの構造とか、全部間違ってました。
まずはざっと三面図描いて、
適当に描いたけどそもそも翼とか調べたこともないな……。
助けてgoogleえもん!画像検索!
表と裏で翼の重なり方が違う……? これ、適当に造ったら翼警察こないか……?
そもそもなんも分からんから省略とかデフォルメとかしようがないし、そのままで作るかぁ。タッパでかいし翼も大きくなるからそのまま作っても良いサイズ感になるでしょ。
えいっ
モデリングが終わり、VRChatに最初に持ってきた時はもう、あまりに魚の動きと違いすぎて前途多難を強く感じました。そもそもPhysBoneが揺れ元があって後ろが揺れていくものなのに、ヒレは揺れをもとにして動きを造るもので、動きの方向性が逆なんですよね。これ無理だろ。無理じゃない!
一応、元から考えていたギミックがあったので少しずつ実装していって、かなり見られるようになりました。
最終的には移動ロコモーションまで手を付けて、それっぽい動きができるようになりました。
3点トラッキングとデスクトップモードだとロコモーション変わるのはなかなか強敵でした。詳しい話はギミックの方で。
名付けも意外と難航しました。それっぽい漢字をひたすら書き留めた残滓がメモ帳に残っています。見てみましょう。
金鱗・金巫・紗神奈・陽・照・金・和・琉・朱・霞金魚・紅鶴・翼巫女・舞姫・御神子・巫魚照・夕刻・朱鷺・金夕照・巫女錦・金魚雲・夕照雲・夕暮雲・夕照・和金雲・姫和金・照和金・暮朱金・夕晴雲・夕彩雲・夕映雲・夕焼雲・夕霞雲・夕浮雲・夕飛雲・暮照雲
それっぽい漢字と金魚の名前と雲の名前でふらふらしてます。後半では夕〇雲で間に入る文字を探していますね。そもそも苗字と名前で分ける発想はない。
金麟の巫女……ちょっと固いな。画数が多い。
紗神奈……さかな。人魚の名前がさかなって。
巫魚照……みなてらす。一目で読めない。
夕映雲……ゆうばえぐも。2/3が不快害虫。
夕染雲が採用されたのは、特別な読み方をしないところと、夕<染<雲で文字の密度が上がっていく流れがあるところ、造語なのに情景が浮かぶところで選びました。この雲が往くことで、世界が夕暮に染まっていくんだね。
漢字名は意味が付けられるので無限に悩めますね。楽しいところではある。
……うーん、ちょっと話したいことがありすぎるというか、最新だから記憶がたくさん残ってるから書くことが多いな。ギミックの話も設定の話もいろいろあるし……、
というわけで、次回は『夕染雲(ゆうぞめぐも)』まさかの中編です。