【詩のようなもの】 喪失と光
喪失を知ってしまった
知る前は知っている人を
どこか神聖視するほど憧れていたのに
今となっては とても空しく下らなく
知りたくなかったとすら思う
いつもの雨音も
殴られているような気分
いつもの食事も
喉を通るまでかかる時間も倍
好きだった音楽すら痛くて
小さなホワイトノイズに包まれ
否応なく昨日の自分のままじゃ
いられなくなったから
「愛を言葉にせず光にすればいい」
僕は変わらない君の写真と手紙に
心を置くように指は文字をなぞり
窓を開けて風を受ける
鏡の向こうの自分が先に喪失を跨ぐ
明日の自分が陽の下を穏やかに歩く