【詩のようなもの6編】 当落
【当落】
アイスの外れくじ10本貯まった
当たりはまだでない
ライブの抽選4次抽選も外れた
当選はいつだろう
ソシャゲの10連ガチャ
同じキャラが1BOX埋まった
本命キャラはまだ来ない
商店街のガラガラポン
結局 1等旅行券は一生当たることなく
「当たり」の文字とは縁のない
ポケットティッシュだけが溜まっていく
煩悩だらけの人生
【雫と席】
穿つ水滴 僕の天敵
足りない血液 補う点滴
ゆるりゆるり悠遠
飽きられて 忘れられて
埋まる全席 奪う優先席
愛がない指定席 譲る補助席
ゆらりゆらり声援
声を掛けて 罵声を浴びて
【音と残り香】
残響が心地良いあの曲のあの音を
自分でも真似たくてギターをかじる
飴玉を溶かし続けながら
時間を捨てて没頭するコード練習
飽きて また鳴らして
咀嚼して 挫折して
自分のダメなところ紐解いて
線に絡める思いの丈
衝動が化けて出る
鳴らし終えた残り香は
あの曲の音とは程遠いけど
残った汗は心地良いまま
また鳴らしたい音を自分のものに
【根源と生成期】
水槽越しに見る向日葵
坂道発進する猫の群れ
栞に挟んだ破壊衝動
予測不可能なおこぼれと当てつけ
待ち合わせるポートレート
リビングに入り込むモンシロチョウ
造花片手に家出する夢の始まり
【秋の模様替え】
桜色のカーテンに替えて
部屋に足す緑黄色のA4ポスター
ドアに貼るアイドル雑誌の切り抜き
鏡に掛ける布は水玉からストライプ
色落ちジーンズ履いて
スケルトンのスピーカーで鳴らす
山吹色のアナログレコード
ヨレたシャツを捨てて
気まぐれで買ったジャケットを並べ
いつもの自分じゃ選ばない
今年限りのインテリア置いて終わる
ごちゃごちゃした自分の心浮かす
秋の模様替え
【ドルフィンキック】
プールの中だけじゃない
嫌なことがあれば
思い出したくないことがあれば
いつだってドルフィンキック
先へ向かうドルフィンキック
ワンギリする非通知電話
立て続けに寄ってくる貧乏神
ムカつくことがあれば
いつだってドルフィンキック
心の中滞らないようにドルフィンキック
最後まで読んでくれてありがとうございました。
水宮 青