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【詩のようなもの6編】 Happy Accidents


【Happy Accidents】

ひととせの風がももとせの縁になる
そんな未来を欲しては遠ざけて
木枯らしは頬を切るように天を摩する

一筋の希望もすれ違ってばかりで
物語にならない片言隻句が酸味を帯びて
今日の自分に竦む憂いと呪い

燃ゆる推しの背に倣いながら
明日の言葉はドキュメンタリー
感情より先に高瀬舟へ

神頼みは死に際にすればいい
誰かが嘯いた通りにメモ帳に綴じて
意図しない幸運を集めに
うねる時代に流されていく

【旅路とバリ取り】

「お前を信じてる」
そう言ってくれる人には
出会えなかったこの世界線で
湿気をとるように
目に見える景色を刻む
あてのない小さな旅路

舌足らずのキャンセルカルチャー
意外な結末に終わるドキュメンタリー
未来を遠ざける絡まったチェーン

怖いものばかり目に入るとしても
三度の飯を食うより二度寝が好き
そんな時期も経た後だから
冷たい空気も愛すことが出来る
最近の僕の心情

「お前を信じてる」
せめて目の前の大事な人に
僕が伝えてみるところから
バリを取るように
目に見えない心を撫でる
あてのない小さな旅路

【無知破滅】

成人式に行かなかったのは
大人になったことを
まだ受け入れられなかったから

知らないことは見て見ぬ振り
知ってることを常識と言い換えて
僕が知らん言葉ばかり使って
周りは大人としてもう歩んでる

僕は僕で知らんことばかり増えて
それについていけない
自分でどう対処すればいいかも
何一つ分からず雑で危うい生活
責任感のない日々

何のために生きてるんだっけ?
別に欲しい物も人もいない
今全て失うならそれはそれで面白い
知らんことばかりの僕が出来る
唯一の破滅思考で難を逃れる今日の日

【晴朗】

晴朗な気分
ずっと続けと思った瞬間から
どこか物寂しさに包まれ
心の中 晴れに晴れ
そう言い聞かせる

自分でも分からなかった
不安の出処を言葉にできた
都合の良い自分の轍だけが
今日の自分に繋ぐ晴朗な気分

ブランコが揺れている
誰もいないけど陽も雲も動いてる
それに目がいく自分に晴朗な気分

空想混えて 
不得手な生活に暮れて
夜のひと時 
躁うつすら飲み込む晴朗な気分は
優しい絵に変わっていく

【スイートホーム】

健気な性格は心を解す
自分だけのスイートホームが
崩れない限り

いつだって甘い
いつまでもキラキラと

虹色の一瞬を探して
引っ込み思案な恋心に
幸せをトッピング

見えないものが見えた時
温かみをいつでも塗れるように
健気な性格は心を解す
自分だけのスイートホームが
崩れない限り

【kick off】

春に向けてキックオフ
先ずは芽を出すところから
焦らず腐らず冬を感じる

震えを知る 孤独を知る
街を眺める 橋を渡る
次は心を転がすところから
一片氷心 一寸丹心
出来ることならそうあれるよう
また今日も心機一転
ドアを開けてキックオフ
春へ向けてキックオフ


最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青