【詩のようなもの6編】 誉れと汚れ
【誉れと汚れ】
誉れのない人生だ
これまでもこれからも
移動に続く移動
体力だけ消耗して
祭りに向かう元気はないんだ
でも社会はそれを良しとせず
曖昧な膨らみに手を叩き
重力掛かる役割を飲み込み
雑踏分けて痛みも分けて
汚れだらけで今日も続く人生だ
【0.5】
軒先で雨は降ったまま
開きっぱなしの冷蔵庫
冷たくて湿ってて
風の音が痛い
頑張れと言われたら
心は遠くへ行ってしまう
ぎゅーっとなって
小さな呪いが今の全てになる
嫌なのに大丈夫と繰り返す
不安なのに笑ったまま
ずっとそのまま
心だけが遠くに行く
理解されたいのに
されたくないから
嵐に飲み込まれて
朝が痛い0.5の視力
抱えた負債は呪縛
徒然を靡かせて
向こうで通り過ぎる
色んなものが晴れていて
頑張らないまま
その向こうへ行く
0.5の復讐と優しさが
今の俺の全て
【草の音】
失った言葉の中に
燻んだ色と煌めく色が表裏一体
忘れちゃならない草の根
外は火の海 心は暗い海
風に乗る嫌な匂い
さよならの声
無くしちゃいけない草の根
内は花 影に密
託しておきたい今日の音
灯る ありがとうの声
続いてきた歴史の中に
煌めく色と燻んだ色が表裏一体
昔を知らない僕は草の根掻き分けて
今日に続く蛍の光を大事にして
草の音を発するよ
【再浮上】
カーテンの揺れ
いつも使うペンの位置
栞を挟んだままの本
些細な点が大きな展開を呼び
そういえば…と、その思い出す作業が
昔の自分を再浮上させて
ちょっと楽しい時間に浸り
ぷかぷか続く等身大
忙しない時の自分に肩叩けるよう
部屋の隅っこに自分の影を置き
一人の時間を静かに眺めて
再浮上する心はリスタートを決意
【逃げの姿勢】
大事でしょ?
いつでも逃げれる姿勢を持つこと
悲しみを抱えてからじゃ
身をかわすので精一杯だから
変わらない一期一会のご挨拶
悪が来ようが厄が来ようが
緩和されない諸条件に揺られて
一人で歩きづらい時は八の字歩き
寄り道先が増えるように
逃げの姿勢で微速前進
【匂やかな】
類縁奇縁 乱反射の一途
虚飾は排され 時代は流され
至妙な術を持つ者に惑わされて
喪失に宿る匂やかな過去を灯す
7年越しの呪い
時間がないというのに
満たされていない過程は
相変わらず匂やかな未来を映す