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【詩のようなもの6編】 捨て始め


【捨て始め】

捨てる 捨てる 捨てる
空っぽになった瞬間
拾う 拾う 拾う

あげる あげる あげる
空っぽになった瞬間
もらう もらう またあげる

時代が変わる 
周りも変わる
僕はどうする

迷う 迷う 迷う
胃の中が空っぽになった瞬間
寝る 寝る 寝る

変わる 変わる 変わる
僕は骨になるまで
何かを捨てるように
動く 動く 動く

【紙と川】

無価値の私
孤独も理不尽も味わった
それでも自由を書く姿勢だけが
川のほとりで線になる

私からしたら無意味に発する
「ありがとう」「さようなら」
それに孤独と祈りを得る
知らない誰かがいる

ティッシュを一枚使うように
時間を丸めてく 傷を拭いていく
箱の中が空になる頃の私は
補充の効かない別人になれてるといいな

【くせに】

自分で気付かなきゃ過ぎてしまう
些細な癖に自分で気付けるだろうか

昔から言われるし言ってきてしまった
「できないくせに」
「おまえのくせに」

何かに夢中な時ほど言われるし
誰かの拘りを押し付けられた時も
無意識に言ってきた

今からでも遅くないだろうか
誰かに向けて言わないことを選ぶこと

これから言われたら言えるだろうか
それは傷をつけるに等しいことだと

自分で気付かなきゃ過ぎてしまう
些細な癖に自分で気付けるだろうか

【索莫リリシズム】

大きな屋根の下
余韻が残らない索莫に沈むリリシズム

僕は月が雲に隠れるように
簡単に脇道に逸れてしまうから
見かけだけの仕事ぶりすら
上手くいかないのが続いてる

彼は俗世間から離れてる
なのに対立が鮮明に見えている
半端なつき減りに揺らぎ喘ぐ中で
すがれた音色が胸にささってる

あの子は嘘はついてない
でも別に本音も言わないまま
正しさを煙に巻くのが正しい
それ以外は馬鹿と叫ぶ馬鹿騒ぎ

大きな屋根の下
余韻が残らない索莫に沈むリリシズム

【聞香】

何故思い出すかは未だに分からない
でも冬の夜の頭痛がキーンとツーンと
あの日の匂いをフラッシュバック

後ろ向きな気持ちも
取り残された気持ちも
座して心沈めるばあちゃんの背中が
優しい匂いを聞かせてくれる間
妙に冷んやりした絵本と
耳の奥に響く火種が色を呼ぶ

今はもう同じ時間は過ごせない
でも冬の朝の光がキラキラと
あの日の匂いの続きが探したくなり
ゆっくり大きく呼吸するところから
頭痛の種を減らしに1日が始まる

【着る服は自由】

重心を低く保ちながらも
私が着る服は自由なの

欠かせない光と闇は
いつも運命に遊ばれてるの

心が老いるってよく分からない
着る服が自由なうちは無敵なの

日に新たな雑感と流行はあれど
中身のメランコリーが変わらない私

粒立ってる朝靄の中
常に自分らしく胸を張れ
そうすれば続く日本晴れ
いつだって私が着る服は私が決めてるの


最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青