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【詩のようなもの6編】 出口と分岐点


【出口と分岐点】

引き立て役 裏方の鏡
仰ぎ見る天気予報
終わりのない流れ作業
出口が見えてきて
初めて気付く分岐点
自分が何処にいたのか
掃き溜めを抜け出て
目を覚ます死神の跡地

鳥籠のような心象風景
祝福のない白昼夢
花束代わりの黒い薔薇
箱庭を染める血溜まり

頭の片隅に残るシャッター音
線路沿いの警告音
空き缶が道で転がる音
劣等感を撫でる空拍手

擦り減った神経
誰の顔も認識出来ない
夕焼けと影法師
出口が分からない迷子同士
もうすぐ溶けるアイスキャンディー
真後ろで佇む死神と天使の分岐点

【フローチャート】

アナロジー的フローチャート
誰でも出来るセルフブランディング
出した結論はどこか均一
出た杭は悔いになり
結論ありきのフローチャート

仕事 恋愛 友情 抱えた悩みは
先人の持つフローチャート通りに
効率良く飲みこんだもん勝ち
悔しいけど多数派には勝てないや

裏砂漠を歩くように
前人未到を嗅ぎ分けることこそ
人生の醍醐味と知りながら
答えがあるフローチャートに沿い
陽だまりの並木道を歩く

【アクシデント】

何かの報せを告げるように
アクシデントの連続
転んで落ちて傷付いて
気づかないところで傷付けて
包装された希望を開けて
割れたアスファルトを跨ぎ
隙間から芽吹く小さな花を過ぎ
人の流れが作る流星の跡
折れた看板が綴る次の未来

全て思い通りに行くわけないけども
アクシデントが織りなした今日が
道の果てにまた道が出来ていく

【今日のインプット】

繰り返した挫折と反省
瞼の裏にこびり付く鬱
目を開けば嘘みたいな青空
いつもの慣れきった散歩道
静謐を纏う路地裏から
排気ガス溢れる表通りで
耳に刻まれる砂利の音
声を掻き消す川の音
無数の道を描く街路樹と電柱
風に沿い人に添い
心のままに沈み今日をインプット

イチョウの葉が
全て抜け落ちた頃に始まる
次の落書きとメモ

【苔の生えた羅針盤】

昨日まで使ってた
常識や豆知識だけじゃ
歩幅が合わず
筋道が立たず
次穂にもなれず
傍らには苔の生えた羅針盤

荒削りしていく過去の残滓
出口のない未来は続き
朽ちた地図を捨てて欲する
シンプルライフ

身体の根は腐り始めてると
気づいた瞬間から
マルチミネラルのような
新しい言葉遣いを摂取

苔の生えた羅針盤は隠したまま
味の合わない食卓を囲むように
繰り返すアジャストとアウトプット

【ボロ雑巾】

僕はボロ雑巾
机を拭くように使われて
溜まった汚れは心で畳む

僕はボロ雑巾
頑固な汚臭を纏って
陰で干されて時が過ぎていく

僕はボロ雑巾
拭いた道筋 空元気が際立って
綺麗過ぎる世の中に息がし辛い

僕はボロ雑巾
維持出来ない意地を手放して
吹き抜ける排気ガスを浴びて元通り



最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青