【詩のようなもの】 幽霊夫婦
【幽霊夫婦】
窓越しに映る花畑を肴に
僕はジャム 君はハチミツ
触ることも食べることも出来ない
食パンにたっぷり塗って
「今日も同じだね」透明な君が呟く
あの子は成長していく
僕らだけが置いていかれる
口から滲み出る後悔
僕はいちご味 君はハチミツ色
互いの痛みを互いに庇い合うも
花の匂いに誘われて
抱きしめることが出来ないまま
苦虫を噛み潰したように
寂しさと健気さを纏い
学校へ向かう後ろ姿を追いかける
幽霊夫婦
ふと振り返るあの子の瞳の奥
何かが残っているのか
僕らの後ろの花畑を眺めいている