【詩のようなもの】 カフェインレスの午後
【カフェインレスの午後】
冷めかけのカフェインレスコーヒー
何気なくカップを持ち上げ
まだ温かいかのように一口含み
「ぬるいね」と少しだけ笑う君は
「昨日の夢、なんだか奇妙だったんだ」
と語り始める
その会話の途中
隣の席では別の客がスマホを手に取り
次から次へと指が滑り
退屈を追い払う小さなダンスのように
何も特別じゃないけど
そこに隠れたリズムがあった
外では風が吹いて
一人の老人が帽子を追いかける
その足取りが妙に軽快で
そこにも隠れたリズムがあり
君と僕は見つめ合いつい笑みをこぼす
冷めかけのカフェインレスコーヒー
何気なくカップを持ち上げ
まだ温かいかのように一口含み
「ぬるいね」と少しだけ笑う君は
「昨日の夢、なんだか奇妙だったんだ」
…あれ?
その瞬間
違和感に気づいた時から
このカフェインレスのコーヒーが
まるで減ってないことと
周りが同じリズムを繰り返し刻む傍ら
僕の心臓の音が大きくなる午後