【詩のようなもの6編】 呵呵大笑
【呵呵大笑】
笑える瞬間は
漠然と大きな声で笑ってみる
何も面白くないことにも敢えて
面白がることが出来るのも
僕の中の真実だから
怖いくらいに あっはっは
ばかみたいに かっかっか
なんとなく健康的な気がして
本当に嬉しいと思えてくる一瞬
心寄せて今が好きな時間
【将来と延長コード】
将来と引き換えに得る堕落
馴染むフードコート
適温適所の図書館カフェ
誰にしたいわけでもない意趣返し
その為に得るマイナスへの急成長
総理大臣の名前より
昨日通った店の名前覚えていたい
朝方の空模様
延長コードに延長コードを挿すような
危なっかしい日々の隙間
反作用を縫うように
昨日の地獄旅行に乾杯
【こんにちは貧乏神】
「質素倹約は春の道」
ありがた迷惑の貧乏神が再び。
「完全攻略」「これで安心安全」
そんなわけない似非の福の神が再び。
眠ることのない亀裂がミシミシと
音を立てて近づくのが分かる
蓋をしたままのトラウマがモワモワと
膨らもうとしているのが分かる
疎外感が増す残り少ないカレンダー
遠くで笑う敗者復活戦コレクター
孤独ばかり配達する脳内宅急便
バラ色人生映す三面鏡は届かないまま
身から出た錆は雨に打たれ
裂けた口の中 貧乏神がニヤリ
【11月10日】
知らない物語に溶けたくて
朝から立て続けに見る映画
「あー面白かった、良かった」
その感想で終わりたくないから
記憶に残るように
知識になるように
感情移入できるように
比喩や些細な描写を受け止めるけど
今日の空気にはなんとなく合わなくて
夜まで必死に感想をノートに書いてみる
残念な気付きが馴染む頃
どの世界の住人にもなれないことが、
見る前と変わらない目線の高さが、
妙に背中を丸めて終わる11月10日
【電子書籍】
似たような電子書籍が
気が付けば本棚の容量を増やして
何を学びたかったのか知りたかったのか
結局言えないまま
マイルドな刺激に釣られて
新しい書籍をDL
満足感は購入した瞬間がピークで
読書することはおまけ
最近はずっとそんな感じ
自分でもバカだなぁって呆れつつ
ながら読書で読みきらないうちに
ページをどんどんスワイプ
もうここは自分の居場所じゃない
薄々わかっていながら地続きの今日
踏み出す先がないことに辟易しながら
また新しい電子書籍が一冊追加されていく
【ナイーブなピリオド】
「ほら吹き天国で草生える」
「なんだそりゃ?!」って乗っかる
冷笑に付す前提の人々だらけで
居心地も聞き心地も悪い
別世界の嘲笑文化
耐えられない存在の軽さに
カルシウム不足が追い打ち
コスパの良いドーパミン浴で回避
おまけのセロトニン欲しさに日光浴
一昔前の逃げ場だった場所は
もはや亡者と猛獣が戯れる場所
さよならは誰かがCMの後で
長尺の前置きと共に遺すだろうから
それに心置いとけばいい
私は一足先に花筏に乗って
冬の桜並木と春の銀杏通りで花霰
「今日もいい天気だね」
「今日は公園まで散歩に行こう」
その情けない会話を大事に出来る
別次元の私を拾いに行くよ
最後まで読んでくれてありがとうございました。
水宮 青