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【詩のようなもの6編】 鬱勃と日没


【鬱勃と日没】

下がる下がるモチベーション
誰かの為に足掻けても
自分の為に使うエネルギーが足りず
ある種の悪足掻きで鬱勃

昼夜逆転の繰り返し
不利益ばかり被りながら
予定外の出費の連続
あっという間に迎える日没

正論を補強する根性論
もう痛々しいだけなのに
結局最後の最後は
それに頼るしかなく
ある種の悪足掻きで
日没後も鬱勃と欲にまみれていく

【ドーパミンジャンキー】

満たされない満たされない
そんな心持ちのドーパミンジャンキー

生理的欲求から承認欲求まで
欲しくてたまらないドーパミンジャンキー

アレが欲しい 
君が欲しい
茫漠から逃れたいの
夢を見ていたいの

即物的な生き方に
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
ただ報酬に釣られてドーパミンジャンキー
辛苦も回り回ってドーパミンジャンキー

【根腐れ】

窓際で何を語るの?
暗い部屋で根腐れするから
涙を流すのはまだ早いよな
不安定な夜はさっさと寝よう

目を休めて口を閉じて
空想が広がる自分だけの宇宙へ
根が伸びる瞼の裏

誰も聞いてない寝言と
断片的な夢の記憶が
水性の言葉に変わり
裏付けのない雑学を身に着けて
薔薇色の朝の筈が根腐れ起こし
涙は再び夜に向かう

【燃え残り】

真っ白に燃え尽きるほど
何かに向き合えたことがない人生
半端に齧って倣って戸惑って
旬が過ぎたように燃え残り

退屈な感情だけは
食っても食っても消えないまま
終わらない火になって
生煮えの返事が得意な人間になり
地を這い空に添い燃え残り

【CYCLE】

足りない学びと経験の中で
迷惑かけないように
背伸びをバレないように
隠しながら今日も普通を繰り返す

大人になる前に知るべきだった
友情も愛情も恋も気配りも
欠けた想像力で続く人間関係

自意識過剰 過去の逡巡
懐かしいあだ名で呼ばれることも
今は耐えられないノミの心臓

また思い出すのは失敗と不安
みんな同じであれと願いながら
自分は更に沼に足が沈み
明日にビビり鏡の前で同じ顔を見続けている

【always not enough time】

有限無限 のらりくらり
留まれない 許されない
雨の日のコインランドリー
悩む恋を過ぎた夏の一滴
開けた窓の空気が既に秋

時間がないのにさ
立派な人間じゃないのにさ
自分が正しいなんて
微塵も思ってないのにさ
ただ正しくあれと願って
真夜中のコンビニの明かりに頼る
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