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【詩のようなもの6編】 冬の朝の散歩


【冬の朝の散歩】

寄りかかれない君の背中
タイトルのない今日が凸凸
これからも探す恋の結末を傍に
ツンとした空気と
シャリシャリした道で
今だけしか得られない
解放感と高揚感を纏い
浮かれムードに酔い
少し財布の紐を緩めては
ニュースに背筋伸ばされ
靴紐と共に結び直し
また今日から冬の朝の散歩

【味わう時の詩】

後光を手繰り
術を知り
外連味を味わい尽くす
時の遊び場
寸暇を惜しみ
想像を越えて
一生綻ぶことない
宝石のような詩を探していく
風に吹かれて
雨に打たれて
背骨にこびりつく一節を
何度も詠いながら
温かみを味わい尽くす時の詩

【家の中、隣のあなた】

少し隙間風の音がする家の中
テレビを笑いながら見る隣のあなた

互いが互いに素で居られる
それはいいことであり
少し情けないことでもあり
明日はどうだろう、、、なんて
不安も少しありながら
過ぎるひととせ

いつまでも続けと願いながら
全てこのままでいいわけもなく
少し変わろうとするわたしと
否応なく変わってしまうあなたが
家の中ですれ違いながら
続いていくいつもの生活

【盲点と起点】

拘りすぎて
条件を増やしすぎて
本来の目的が霧散した頃から
逆転の発想を得て次に繋がる 

忙しすぎて心を亡くすまえに
夜を遠ざけて 盲点に光当てて
下馬票を変えるような
起点を探して余地が拡がる

最後の最後に
誰かの起点になる詩をここに残して
緩やかに消えていく私の未来

【此処と個々】

知らない場所を歩けば歩くほど
僕の毛細血管は世界を知り
人工知能に負けないくらい
解像度を上げて空を美しく見せる

此処は新世界
いつもの日常でありながら
同じ日とは言えない輝きが目に宿る

個々は共感覚
一人の思いが言葉を介して
違う景色が同じ感情を分かち合う

どうでもいいことだけど
どうでもよくない此処と個々
それぞれの場所

君の世界は僕の世界
変わっていくけど変わらない
時の狭間 心の隙間

知らない場所を歩けば歩くほど
僕の毛細血管は世界を知り
人工知能に負けないくらい
解像度を上げて更に進む
未知の世界 

【雄途】

本流から葉脈のように伸びる支流
それに自分を重ねては離して
怖めず臆せずとは出来ないけど
あつらえたような邂逅があったなら
一歩踏み出す雄途

散々な思いを繰り返す
答えのない問いを繰り返す
ガラス細工のような心が
美しさを纏うような頃
それも自分だと受け入れる日が来る

皺だらけの顔でまた雄途を辿る
人に添い 川に沿い
最後まで歩いていけたら...
不恰好な姿も少しは様になってる筈



あけましておめでとうございます。
また今年もよろしくお願いします。

水宮 青