【詩のようなもの6編】 なびく一月
【なびく一月】
漆の上に金粉を塗したような
めでたかった浮かれムードが
うさんくささに急転換
飾り言葉になびく一月
若葉の色が鮮やかすぎて
逃げるように煙も雪も蹴立てて
折衷説になびく一月
厳しくされすぎるのも
優しくされすぎるのも
歪な器のままじゃダメになる
旅立ちから始まる映画を集めて
終わりのない旅を繰り返し
暁暗を纏う時間帯に
そっと別れを告げて
また新しい自分になびく一月
【冬の逆風】
桜を探す拙作を作っては
気持ちが鬱ぐローテーション
災い転じて福がなされるなら
悲しい話はもう聴こえないはず
実際は災い転じて悪がなされる
口を窄めたくなるほどに
夏を思い出す句作を作っては
渇いた心に浸すアルコール
花の命は短くて
苦しきことのみ多かりき
自分と縁遠くなった瞬間から
知らなかった自分に魘されて
一難去ってまた一難
【定休人生】
定休人生
道は閉ざされていく
定休人生
暇を弄ぶ継ぎ接ぎ
定休人生
忘れられて忘れて
定休人生
沈丁花を愛でて終わる
定休人生
【紙背】
紙背 歪な土踏まず 一夜の夢
リスキーな甘言と
得のない還元に振り回されて
だらだら続く坂道は
辺り一面枯葉が散り敷かれて
秘めていた思いは秘めたまま沈む
紙背 歪な土踏まず 一夜の夢
ミルキーな散文と
呑めない清濁に振り回されて
ゆらゆら続く影路は
辺り一面陽炎が燃え盛って
秘めていた思いは秘めたまま煮える
【パーフェクトデイズ】
移ろう天気
関わる人と場所
ゴミの分別から始まり
電気を消すことで終わる一日
ルーティンが整った頃から
毎日同じで違うことに
自分を通して俯瞰する
パーフェクトデイズ
日記を予言書のように刻むか
振り返りノートにするか
自分が決める人生の黄昏
積み上げて崩されて
借りてた本を返すように
必然の起結は見えない推移と共に
また縁が離れては繋がる
ルーティンが整った頃から
毎日同じで違うことに
自分を通して一間を織りなす
パーフェクトデイズ
【開拓と本懐】
世迷言と処世訓を刻み
雨風に曝されて尚残る一ページこそ
誰かの未来を変えていく
通行止めだった道が開けていく
鉛筆を転がすように人生が転がって
芯の濃さが最初から決まってると
使い果たしてから気付く本懐
ノートの続きに意味があるか
後から結果を得るスローガンを掲げて
また歩きだす未知の道
最後まで読んでくれてありがとうございました。
水宮 青