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【詩のようなもの6編】 1000年後


【1000年後】

1000年後の社会に生まれ変わっても
僕は僕のまま似たような生活をしているのかな

そもそも1000年後の自分は自分のままで
肉体とは分離しても魂は有り続けるのかな

レターサイズの思い出は携えたまま
1000年後の未来を覗き見たいが為に
詩を書くことは心を砕くことだと知りながら
ワンパターンの言葉を書いている

1000年後の社会に生まれ変わっても
僕は僕のまま似たような生活をしているのかな

【だし巻き卵】

お弁当のおかず
赤字を出さず
拘り過ぎず
栄養と色と味を追求
シンプルなのに奥深い

意外と難しい今日の目標
綺麗に巻けなかった
だし巻きもどきの卵が
そっと弁当箱の中へ

明日の目標も
綺麗なだし巻き卵を作ること

【相対する自分】

365日のうちの祝日の回数を
どうにか増やせないものだろうか
時間をもっと伸ばせないだろうか
そんなことを暇な時と疲れてる時は
真剣に考えてしまうバカな自分

クリフハンガーが続くのを嫌いながら
それを仕掛けたいと思う日常
汚れていく自分と嘆く自分

バンドワゴン効果に釣られる自分
バーナム効果を信じてしまう自分

フラストレーションがアトラクション
コンプレックスが明日の自分を知る調味料
時々奮い立たせ突き進む自分

色んな自分が詩のようなものに変わり
君の心の音を震わせられたら・・・
それを嬉しいと思う自分がいる

【二度寝】

年の瀬に二度寝
幻になった一途の愛
現実になった後悔
愛憎入り混じる現代病
年の瀬に二度寝

年の瀬に二度寝
声にならない砂粒
後ろ姿のフラッシュバック
夢の中で聞くお伽話
年の瀬に二度寝

【日記帳】

血痕垂れる日記帳
劣等感と優越感が綴る
情けない一人の日記帳

君と交換日記でもしていれば
恥ずかしさや情けなさも慣れて
共有できる宝物になったのかな

「今の自分の傍らに
咲き誇る花の名前も知らないまま
窓越しに見える信号機は点々と動き
桜色だった景色は茜色が澄み渡る」

こんなことしか書くことがない
進歩のない日記帳に誰か返事でも書いてよ

空返事で終わり
絵空事の日記帳を
夜と共に静かに閉じる

【夜明けのイリュージョン】

悴む手を温めるコーヒー
眠れないけど目を閉じながら
月明かりの残像 瞼の裏で揺ら揺ら

メリーゴーランドのように
昨日の私たちと今日の私たちが
破った日記帳と捨てた言葉たちが
胸の奥でまだ回り続ける

けれど夜は静かに溶け
窓辺に淡い光が差し込み
一つの幕引きが新しい朝を染める

雫のような希望を拾い上げて
外の風を受け入れるように
飲み残したものを糧に変え
朝焼けと共に胸の中へ



最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮青