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てぃくる 190 インクの実
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果汁がどぎつい紫色になることが知られているヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)。
洋酒にはなりませんし、ゴボウの仲間でもありませんし、山でないところにもいっぱい生えますので、かなりいい加減な名前だなあと思います。
北米原産の外来植物で、よく知られている毒草なんですが、その割には食べて中毒したという話を聞きません。まあ、草のでかさといい、実の派手な色といい、あまり食べたいという欲求が湧かないと言うか……。
その代わり子供達の遊びの道具としては定番ですし、それゆえお母様たちの悩みの種でもあるかと。このケバいど紫色、服に付くと洗ってもなかなか落ちないんですよねー。
退色しやすい紫系の植物色素の中では、くっきり強く染まる方だと思います。草木染めでも、濃いピンクを出す染材の定番になっています。
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こやつは一度根を深く下ろすと、どかあんと茂ってこの派手な実を惜しみなくぶら下げます。この野郎と憤って刈っても刈っても、根から再生しますね。退治するのが面倒な雑草の一つです。
そして、とても面白い性質を持っています。こやつは富栄養に強いんです。自然界では植物の成長に必要な栄養が足りないことの方が圧倒的に多く、そういう貧栄養環境ではこの植物の競争力はそれほど高くありません。
ところが放棄畑の跡や鳥の寝ぐらの真下など、ものすごく土の栄養が多くて他の植物の根が肥料焼けして枯れてしまうような場所でも、こいつは平気の平左。化け物みたいにでかくなって、そこを占有してしまうのです。見た目も派手なら、性格も派手だってことなんでしょう。
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秋遅くなってくると、寒さに弱いヨウシュヤマゴボウは地上部が枯れて根だけになり、長い眠りに入ります。その直前には葉が紅葉し、赤い花軸、紫の果実と併せて見事な草姿になります。
ありふれた雑草ですが、遠出しなくても身近に楽しめる紅葉植物として利用してみてはいかがでしょうか。
寒月や蒼く染まりしペンの先
(2015-11-18)