てぃくる 309 ブラインド
陽光を櫛の歯に削るブラインド
その背後に居て
顔を縞模様に飾る
ブラインドで遮られて
奪われたものと
なお得られるもの
それがいろいろな色形に凝って
目の前を彩る
何もかもが順調な時
陽光が全てを真っ白に塗り潰そうとする時
わざわざブラインドを下げる人はいない
だが幸福の価値は光に紛れて分からなくなる
何もかもが不調な時
それはただ
ブラインドが下げっぱなしになっているだけ
そいつを上げれば済むことなんだ
ブラインドを下ろしても上げても
そこで遮られ
なお透過するものを見て
わたしたちは幸福の過不足を
ひどく大げさに論じる
だってわたしたちは
盲目だからね
(2017-05-31)