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てぃくる 606 目標
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「ねえ」
「なに?」
「あんたには目標ってあるの?」
「あるよ。飛ぶこと。飛ばないことには始まらないもん」
「ふうん」
「君の目標は?」
「できるだけ飛ばないこと」
「僕らと逆だね」
「そりゃそうよ。飛んじゃったら、それで終わりだもん。あんたは逆でしょ?」
「そう。飛べないことには何も始まらないから」
「でも、目標に関係なく、結局みんな飛んじゃうんだよねー」
「確かになー」
☆ ☆
稼ぐ葉っぱを失ったら死活問題になる木にとって、葉っぱを飛ばさないことは大事な目標です。
一方、種子を風でばらまくためには、どうしても飛ばす必要があるわけで。種子を遠くに飛ばすことが、木の目標になりますね。
飛ばすことと、飛ばさないこと。正反対の目標が同時に並立しているということ。とても不思議だなあと思います。
しかし葉っぱも種子も、いずれは木から離れて飛びます。葉っぱは土に返るために。種子は新たな生命を生み出すために。
目標から離れ、正反対の運命を抱えて飛ぶのです。
目算を捨てて翔ぶなり秋の蝶
(2019-10-09)