てぃくる 413 晴れのち雨
あなたと一緒にいて、わたしは芯から暖められた。
その間、わたしはずっと晴れていたの。
でも、わたしはあなたの全てが欲しくなった。
あなたを飲み込んで、中から暖まろうと思ったの。
わたしの目の前からあなたの姿が消えて。
わたしを暖められるものはなくなった。
あれから……。
ずっと雨が降っている。
そう。太陽を消してしまったのはわたし。わたし自身。
わたしは、ただ雨を降らせることしかできないの。
だから天気は、いつも晴れのち雨。
☆ ☆
『望んでいたことが叶うと、熱を失う
熱を失ったものは、冷え固まって雨となる
雨となって降り注いだ心は
またどこかで暖められて舞い上がり
雲という形を得て夢に近付いていく
そして、また雨になる
繰り返される晴雨
幾千幾万の笑顔と涙の循環
その狭間にいて
今、遠ざかる君のうなじを見送る』
頬を打つ滴二つめ梅雨始む
(2018-05-20)