てぃくる 580 棘のある言葉
「その言い方には棘があるよ」
「そう?」
「だってそうだろ? 僕が剣山みたいだっていうのは……」
「そのものでしょ。見たままをストレートに、何の悪意も他意も混ぜず、誤解されないようできるだけ正確かつシンプルに。それだけよ」
「それじゃあまるで、僕が棘だらけのように聞こえるだろ」
「しつこくわたしに刺さってくる時点で、十分に棘だらけよ」
言葉の棘。厄介ですね。
使う側の意図やセンスの問題だけでなく、言葉を受け取る側の無理解やコンプレクスも絡むからです。
できるだけ棘で他者を傷つけないようにと意識すればするほど、表現は窮屈になってしまいます。その結果、まるでロボットが発したみたいな熱のない言い方になることも。それはそれで、棘になってしまうと思いませんか?
言葉というツールをどのように使うかよく考え、発信と受信の両面で経験を重ねて言語感覚を磨くこと。
それは、言葉を棘だらけにするのを防ぐためだけではなく、言葉の棘で傷つかないようにするためにも必要なのかなと思います。
(2019-08-12)