てぃくる 521 不埒な花見客
いよいよ桜が咲き始め、花見シーズンがやってまいりました。
満開の桜を見上げながら、一献また一献と盃を重ねるのは大変結構なんですが、酒に絡んだトラブルが多いのもまた花見の特徴。酔い潰れるくらいならかわいいもので、酒で気が大きくなった酔客同士の喧嘩になるとしゃれになりません。花見ぐらい、雅にゆったり楽しめよと言いたいところなんですけどね。
ああ、ほらほら。あちらで、また騒動が始まったようです。
☆ ☆
「どけよ! ここは俺たちのシマだ。なんでつらっとそこに居座ってんだよ!」
「……」
「どけってんだよ! 力尽くでぶっ飛ばしてやろうかっ?」
「……」
「なんだよ、その辛気臭えツラ! 文句あるってえのか?」
「……」
「表に出やがれ! 叩きのめしてやるっ!」
「……」
桜がヤドリギに喧嘩を売ってますが。どけって言われても困ってしまいますよねえ。桜の枝の上に根を下ろしちゃってますから。
桜の木にとっては、居座られた上に栄養を横取りされるんじゃたまったものではありません。とんだ花見客です。でもヤドリギのサイズは小さいので、うっとうしいだけで実害はあまりないかと。
威勢のいい桜花ですが、じきに散ります。酔いが醒めたあとは緑一色になるので、同じ緑同士で仲良くやってください。
(2019-03-31)