てぃくる 787 二人羽織
ちょっとしたお遊びの提案です。お遊びというよりアタマの柔軟体操ですね。
二人羽織。みなさんよくご存知だと思いますが、二人一組になって、後ろの人は前の人の羽織の中に隠れます。つまり視界がありません。前の人は手を使えません。前の人の口述をもとに、後ろに隠れている人が行動を代行するわけです。
後ろの人は何も見えませんので、見ること前提の動きはできません。こんな感じかなと動きはするものの、当然それはぎごちなく滑稽なものになるわけです。
たとえばお菓子をつまんで一つ口に入れる。たったそれだけの動作でも、二人羽織でやると抱腹絶倒のアクションになるわけですね。後ろの人が、めちゃくちゃになることを前提にアクションすれば、もっと酷いことになります。
二人で息を合わせてというよりも、息の合わない滑稽さを楽しむ芸ということになるのでしょう。これを、言葉でやっちまおうということなんです。
◇ ◇ ◇
ボードゲームに『横暴編集長』というのがあります。名作のタイトルを細切れにして上下に切り離し、それをランダムにくっつけて作品タイトルにするというもの。変なタイトルをもとに、それがどんな話かを『合理的に』説明しなければならないというものなんです。
カクヨムのお題で出されたものだと……。
『あしなが侍』『タイム入りました』『未来世紀以外全部真実』『オールアバウト世界一周』。そして、掌編ではなくきちんと長編に編み上げた『犬神家の少女ハイジ』。
元ネタが全部わかった人を尊敬します。
お題としては容易なので、わたしは全ネタ瞬殺しました。でも、こういうお遊びはとても頭の体操になるなあと思ったんですよ。で、それを二人羽織というゲームにしてみようかと。
二人羽織は芸ですから、演じる二人と観客……少なくとも三つの立場が必要です。ですから人数がいた方がゲームとしては楽しめます。でも、一人でももちろんできます。
ルールは簡単。後ろに隠れている方は目が見えませんから、前の人が誰かわかりません。前の人はこうしろと命じることができますが、後ろにいる人のアクションを制御できません。
前の役は後ろの人にしてもらいたいアクションを書き、後ろの役は前が誰かを想像して書きます。それは互いには見せません。観客役の第三者は、その二枚の札が揃ったところでオープンにし、笑えるネタに仕上げてください。そうなった理由をこじつけてもいいし、無理やりオチをつけてもいいです。ともかく、どうやったら二人羽織が盛り上がるかを考える……それだけです。
5W1Hを細切れにして組み合わせる既存のゲームはあるんですが、単にアンバランスを笑う瞬間芸にしかなりません。それよりも、小さなアンバランスをいかに笑えるネタに膨らませるか……そういう想像力を働かせた方がいいかなあと。
次のは、わたしのこさえた出来の悪い例です。
『小池都知事が』『マーマレードを作った』
「都知事。こりゃあなんですか? とんでもなく臭くてげろまずなんですが」
「ソーシャルディスタンスを確保しないとならないから、一口食べたら誰も寄ってこないものにしなきゃ」
「ちっとも甘くないんですけど……」
「蜜なんか入れるわけないでしょ」
「これは蜜柑を使ってないんですか?」
「対策が未完だからね」
「これをどうなさるおつもりで?」
「飲食店で客にこれを食べてもらえれば、その店は時短要請に応じなくても大丈夫っていうつもり」
あんたが全部食えっ!!
(2021-04-22)
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