てぃくる 348 雨の色
夏は、雨に色がつかなかった。
だからどれほど雨が降っても、それは俺に色をつけなかった。
秋になって、雨は青くなり始めた。
俺は青くなんかなりたくなかったが、降った雨が俺を青く染めた。
青くなった俺は、今日も空を仰ぐ。
雨よ降らないでくれ。
俺はこれ以上青く染まりたくないんだ。
でも、間断なく降り注ぐ雨が俺に言うんだ。
おまえはすでに青いじゃないかと。
夏中咲いていた、アメリカンブルー。
まだがんばって咲いていますが、その色がだんだん寂しげに見えてきました。
そしてアメリカも今、憂鬱の時を迎えていますね。わたしたちの周りもいつの間にかきな臭くなっていますし。ブルーには染まりたくないなあと。
秋雨を見上げながら、ふっと溜息をつきます。
秋霖や憂ひを溶いて濃く淡く
(2017-10-22)