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てぃくる 502 過不足
それでなくとも、冬木立の色は乏しいのだ。少ない色を浮かび上がらせてくれるはずの日差しも、傾いた上に逆光になると、残っていたわずかな色さえ全て奪い去ってしまう。
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では、色は本当に失われたのか? 二度と戻ってこないのか?
そんなはずはない。
乏しい光に慣れれば、ほんの少しの斜光すら過剰に感じるようになる。同じように溢れんばかりの日差しに慣れれば、ほんの少しの翳りでも暗闇のように思える。それは、ほんのわずかな過不足がもたらす幻影に過ぎない。
日が沈めば、木立だけでなく全てのものが色を失う。もちろん、私もだ。
そして中天から日差しが降り注げば、全てが色を取り戻す。何事もなかったかのように。
わずかな過不足の間にあって。
何が多過ぎ、何が足りていないのかを……しばし考える。
過ぎると過ごすが違うように
足りぬと足らすとは違う
(2019-01-17)