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魔法にかかった男

SNS上には好意や支持を意味する「いいね!」ボタンが設置されている。Twitterやこのnoteにも「いいね!」、「スキ」を示すハート型のボタンが用意されていて、私はこのボタンをたまに「ハート」と呼んでしまう。「あっ、ハートついている」って具合に、「いいね!」とか「スキ」という通称ではなく、見たまんまを口にしてしまう。
それは単に私がSNSを始めたのが遅く、「いいね!」という語句が自分自身に馴染みないから、咄嗟に言葉が出てこない。すでに十年近くこの手のサービスを使いこなしている私の友達などはきちんと「いいね!」と言う。手慣れてらっしゃる。というよりも、正式名称がぱっと思い浮かばず、見たまんまを口にするのは老化現象かもしれないとも考える。名前が思い浮かばなくても、頭の中でその形態は描写されているから、思わずその形を口走ってしまう。歳をとると人の名前とかすぐに浮かばず、特徴を延々と口にすることがある。失礼な話だけど。また、ネガティブな性格ゆえ、普段の生活で肯定的な言葉を使うことが少なくて、「いいね!」とか「スキ」という言葉が使いづらいという面もあるかもしれない。特に「いいね!」とか実際に口にするのは憚られるかも。壁の花とか刺身のつまとかシューマイの上のグリーンピースとか。そういう単語だったら使いやすい。ただそれだけの話。

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