絵本は消耗品?
〈はじめに〉
チェーン書店で児童書を担当している書店員です。現在は絵本と読み物の担当をしています。
接客や書店の様々な作業を通じて、今まで感じてきたことや疑問に思っている事などを、覚え書き的にこちらに記していこうと思ってます。
書店員ってどんなことやってるの?とか、絵本や読みものにちょっと興味あるなぁという方に、立ち止まって読んでいただけたら嬉しいです。
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今回の本題に入る前に、まずは絵本の書店での扱われ方の説明から。
ひと月に新作と呼ばれる絵本がどのくらいの出版されているかご存知でしょうか?
私の感覚では毎日3~4タイトル、ひと月では80〜100冊くらいの新作絵本が出版されている印象です。
新たに出版される新作絵本は、コーナーで大体一週間程面陳(表紙をみせての陳列の事)します。
最初は一番目立つ場所で華々しく扱われる訳です。
その後、出版社が力を入れている絵本、有名作家の新作、人気作の続編などは例外ですが、ほとんどの作品は約1ヶ月後に棚差し(棚に差して背表紙のみみせること)になります。
これは、どういうことかといえば、多くの新刊絵本が他の定番絵本や、人気絵本の中に埋もれてしまうということです。
そして、ほぼ一年くらい経つと、他の新刊絵本や定番絵本に押されて、多くの新作だった絵本は返品されて棚から消えてしまいます。
(もちろん、例外もあります)
wiki的に消耗品とは何かと調べてみると、【10万円以下且つ耐用年数が1年未満のもの】となっています。
つまり、残念ながら多くの絵本にもこれは当てはまり、ほとんどの絵本が1年で書店からなくなってしまう【消耗品】となっている現実があるのです。
新刊として出版された100冊近くの新作絵本は、最初の1ヶ月が勝負!であって、そこで売れていかないと、その後多くの人に読んでもらうのはおろか、手にさえ取ってもらえず書店からなくなってしまっています。
この事実は、書店の絵本担当として、本当に心苦しいです。
多くの絵本作家さんや編集の方たちが時間をかけて作った本を、【消耗品】のように扱ってしまっていることに申し訳無さを感じますし、絵本に興味のあるお客様に色々な絵本と出会って欲しいと思い、多くの絵本を発注するわけですが、ほとんど届けられない歯がゆさもあります。
現実的に、一日に大量の書籍が入荷する中で毎日じっくり全ての新作絵本に目を通していくのは難しい(新作絵本以外にも、MDといわれる常備の絵本が毎日大量に入荷しますし、他の作業も沢山あるので)ですが、絵本担当などといいながら、じっくり絵本と向き合えない焦れったさも感じます。
絵本を消耗品にしない為に、どうしたらいいのか…と毎日考えながら仕事をしていますが、中々難しいです。
もし絵本に興味があって、書店に行って、新作絵本を見てみようかな〜とコーナー行って気に入った絵本があったら、出来れば次に来たときに…などと思わずなるべく早めに手に入れてたほうが得策。これが私からのアドバイスです。
素敵な絵本が沢山出版されているので、此処でもいずれ紹介できたらとも思っています。