「今まで」と「これから」の自分を考えるきっかけに~七つの会議を観て感じたこと~
今日、昼に『七つの会議』を映画館に観に行ってきました。
この映画のことは実はあまり知らなかったのですが、会社の社長に「観に行ってきた方がいい!」と強く推されて、2秒でチケットポチり。
あの「半沢直樹」や「下町ロケット」でお馴染みの池井戸潤が原作。企業に対してのなんらかのアンチテーゼだろうと意気込んで観てきました。
地元の映画館なのでそんなに人も入ってはおらず、わりかしボクと同じくらいか、それ以上の年上男女にが観てた印象です。
少し、ここからネタバレも含めて感じたことをつらつらと買いたいと思います。
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観終わってまずは一言、
「なるほど、、、。」
という感じでした。
もちろん、エンターテイメントとしては「面白い!」です。その面白い!を前提にした上で「なるほど、、、。」です。そう、「、、、。」です。
野村萬斎が演じるダメダメ営業係長と香川照之が演じる営業部長、この二人は元同期であり元々は出世する為に、バリバリのエリート営業マンとして働いていました。その働いている会社が、大手企業のグループ会社として生き残っている中堅メーカーで「売れればいい、売ってこい!」というような感じでの風土を作っており、その製品に対しても仕入れのコストダウンを強要し、利益をあげるというような形での業績でした。その結果、製品に大きな欠陥が見つかるのですがそれを組織ぐるみで隠そうとするのです。それを会社全体で行っており、さらに言えば大手企業の社長にまで話をした挙句、その人も隠そうとするという始末。結果としては明るみに出てハッピーエンドのように見えるのですが、今までの日本の痛烈な批判がその中に隠されていて、しかもそれは現在でも続いているということだと思うのです。
それは、こんな問題を見ても明らかです。
映画の中で、中堅メーカーで働いている現場の人たちは、「自分たちは間違っていない」「上からの指示だ!」ということを仕切りに言います。逆に責任者は「俺が指示出していない」「お前たちがやった」「それをしなければ大手企業から切られる、生き残れない」「仕方がなかった」と言います。
その欠陥を知り、原因を知った上で「この事実を公表すると世の中のいろんな産業がストップする」という社会的インパクトを鑑みて「公表しない」という選択を取ろうとするのです。
結果として、こんな体質の会社でのらりくらり20年間もダメダメ社員をやっている野村萬斎と営業部長という位置にいながら結局、企業の体質に染まっていった香川照之は「何をしていたんだろうか。」と呟きます。
そうです。そこがすごくポイントだと感じました。経理の人(藤森慎吾の役)からの嫌がらせも結局、自分の会社の中での地位向上を目的にしてしまっているように見えるし、一見、窓際になっている社員が最後に活躍するような見え方はしていますが、どの人も外に向いた活動になっていない。社会に必要のある状態にはなっていないと思うのです。自分たちのことばかりを言い続けています。
最後に社内コミュニケーション活性化のための企画として「社内でのパン販売」ということをやり続けた女性の人に「仕事をしたのは君だけだったのかも」と野村萬斎が言うのですが、その通りです。
その女性の得意なこと、好きなことを会社内に実装し、さらに最後はパン屋になるという事実。
・会社のためと思って仕入れ先にコストダウンを依頼し、さらに都合がいいように取引先を変える営業、
・社会のために公表せず、裏回収をしてうまくことなきを得ようとする経営陣、
・自分のためだけに相手の粗探しをしてマウンティングをしようとする経理、
・相手のために自分の得意技を生かしてもっと会社の雰囲気をよくしようとする営業事務の女主人公
ここだけ見てもどんな人になりたいかは一目瞭然だと思います。
しかし、現実の世界ではこんなにうまくいかない、と世の中の人は言うのではないでしょうか?
やれ、上司が、会社が、制度が、ルールが、社会が、時間が、、、
などなど。
なぜ、冒頭に「、、、。」と思ったかと言うと、
この映画の賛同者は「おお!よく言った!」「やっぱり不正はよくないよな」とかいろんな声があると思うのですが、ここから自らに置き換えて行動できるのかなぁ?と感じたのです。
本当の意味で、世の中のために、社会のために、日本のために、自分の身近な人のために仕事できるようになるのか?と疑問になったのです。
日本は長らく「藩のために」「御国のために」と言う考え方で自分を殺すような働き方をしてきました。「欲しがりません、勝つまでは。」的な言葉もありましたね。
それは悪いことではなかったのだと思います。だからここまでの成長をしてこれているし、豊かになってきている、日本の水準はグローバルで見てもかなり高い水準での豊かさを持っているはずです。
でもそれだけでは立ち行かなくなってきているのも事実で、その歪みが色々と出てきているのが昨今の状態でしょう。
さてこれから、と考えた時に、私たちは何ができるのでしょうか?そこを深く考えないとこの映画が「エンタメ」で終わってしまうなと感じたのです。
七つの会議では、それぞれの立場の人がそれぞれの思惑で会話をしています。いろんな正義があるように見えます。きっと日頃の鬱憤を晴らしてくれているところもあるでしょう。しかし、その鬱憤はどこからきているのか、「諦め」ではないか「自分を殺している」ことではないか、そんなところをもう一度フォーカス当てて考えたいなぁと思った映画でした。
本当に自分のやっていることは、やりたいことだったのか、貢献できているのか、と。会社のみではなく、社会に、周りのパートナーに。