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E・C・ベントリー『トレント最後の事件』読了

再読。懐ミス(懐かしのミステリー)のひとつ。

チェスタトンの要請を受け、ベントリーが書き下ろした推理小説。現代推理小説の黎明を告げる記念碑的な名作。

推理だけで事件は解決するわけがない。著者は推理小説を皮肉るためにこの小説を書いたと言う。しかし、そのトリックは複雑で絶妙。大どんでん返しの初期の作品とも言えよう。恋愛を取り込んだ初めての推理小説とも言われている。

この後、クロフツやクリスティ、ルルー、ルブランなどの推理小説全盛期を迎えるが、この小説は先駆的な役割を果たしている。

この結末を真似た作品にはまだお目にかかっていない。それほど独創的なトリックなのだ。

この本を読まずにミステリーファンを名乗るべきではないと言ってもいいのではないか。

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