パール・バック『大地』読了
王家3代に渡る壮大な物語。
まるで大河ドラマを第一話から最終話まで見たように疲れた。でもそれは心地よい疲れだった。読み終えるのが惜しいと思える小説に久しぶりに出会った。
著者は登場人物にそれぞれ固定観念を持たせることで、実際に存在するのではないかと思えるほどの存在感を著した。その中で唯一固定観念がないのが王淵だ。この王淵がなんとも良い。旧時代に抵抗しながら新時代にもついていけない。思考が行ったり来たりで、その場その場ですぐに変わる。女性に奥手であまりにも純粋すぎる。
この後中国は悲惨な状況に向かうことが想像(小説として)できるが、孤独を抱え、自尊心はありながらも自己存在に疑問を持ち、苦悩する王淵が、最後に愛する人とわかり会えたこと。それだけが救いだ。
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