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パーシヴァル・ワイルド『検死審問』読了

江戸川乱歩の『江戸川乱歩トリック論集』を読んでいたら、序盤で2回も登場したため、そちらを読むのを中断し、慌てて買って読んだ本。

著名な劇作家が探偵小説を皮肉るために書かれた作品? そこかしこにユーモアとして皮肉が現れる。主人公とも言える女性小説家の探偵小説を否定する言葉、特にP232の探偵を変人扱いするくだり、「モルヒネ中毒者」、「美食に溺れる巨漢」、「異国訛りの珍妙な英語を操る男」には思わず笑ってしまった。ミステリーファンならばすぐに誰のことかわかるだろう。

探偵小説を皮肉りながらも、正当な探偵小説となっている名作。復刊フェアで発売されるまで、私はこの本の存在すら知りませんでした。恥ずかしい。

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